「JSR20i3」の仕上げの年
S―SBRをグローバルに拡大 戦略事業に大きな道筋
精密材料・加工、環境・エネルギー、メディカル材料を戦略事業と位置づけ早期に基盤事業に匹敵する事業とするべく事業構造の転換を進めるJSR。小柴満信社長に今後の事業戦略を聞いた。
―12年を振り返って。
小柴社長 需要業界であるタイヤ産業、半導体市場、LCD業界の需要動向が前年並みで推移し、特長のない年であった。合成ゴムは自動車タイヤの国内生産が特に欧州向け輸出の不振により、前年同期を下回る水準で推移したが、2012年11月から欧州でのタイヤラべリング制度が始まったことで、これに呼応するように低燃費タイヤ向けのソリューションSBRが伸びた。 生産面では、四日市工場のS―SBRの能力増強工事が2011年度下期に完工し、現在フル稼働している。これに続き、タイに設立した合弁会社において5万トン/年のS―SBRの工場建設が進行中であり2013年6月稼働予定。さらに第2期5万トン/年規模の工場増設も視野に入れている。
―通期業績見通しは。
小柴社長 通期では営業利益360億円を見込んでおり、昨年度に比べほぼ横ばい、最終利益はもう少し良くなるだろう。売上高は3780億円の見通しで、石化事業での売上拡大により増収増益の見通しだ。下方修正したことは残念だが、持続的な成長を続けていく中では売上高を伸ばして事業規模をもう少し大きくしていかなければならないと考えている。