ニッタ CNT分散技術を開発 

2013年01月28日

ゴムタイムス社

   ニッタは21日、独自のカーボンナノチューブ(CNT)分散技術を用いることにより、ナノレベルで均一に複合化した機能性樹脂材料を開発したと発表。 同日、大阪本社で技術説明会を開催した。

 同社は独自に解きやすく分離しやすいCNTの合成技術を確立し、またその分散技術を開発することで、CNTの長さを維持したままナノレベルで分散させることに成功した。
 この分散技術により、CNTの添加量も最小限に留めることが可能で、元来の材料の特性を損なうことなく機能性を付与することができる。
 同時にカーボンナノチューブの使用量が従来の半分程度に抑えることができるため、大幅なコストダウンも可能となる。
 会見冒頭で、執行役員テクニカルセンター長の西野駐氏が同社の研究開発について「カーボンナノチューブの研究開発を数年行ってきた。製品だけを追い求める研究開発は昨今できないので、製品をメインにサービス、モジュールなどを含めて川下に展開していく研究と材料の取り扱いノウハウを活かして素材に遡っていくという川上に展開していく研究を行っている。素材と言っても、合成ゴムを自社で作ることはできないので、材料に添加剤を加えて、機能を追及していくという考えで研究をしている。
 カーボンナノチューブの合成、分散、複合化の技術を追い求めて新たな事業へ展開できればと考えている」と述べた。
 具体的内容については、テクニカルセンター兼高知工場長の小向拓治氏が解説した。
 CNTは分散や複合化の際にCNTが切断したり、凝集が起こり易かったため、CNTの特性が充分に活かされた複合材料の開発が困難だったが、新技術を用いてCNT1本1本が分離した状態で樹脂に分散させることで、良好な成型加工性を維持したまま、安定した導電性や熱伝導性などの特性が得られるようになった。
 静電気除去などに用いられる樹脂においては、CNTの配合比率を従来の分散技術と比較して半分以下とすることが可能で、もとの樹脂材料特性を損なうことなく、導電性の付与を行うことができるとともに、大幅なコストダウンが可能となる。 
 製品開発を大学や企業とアライアンスを組んで共同で始めている。また、同社では他社のCNTを分散技術を用いて製品開発することも検討している。今後、他社と共同で製品化を目指す。
 また、高強度・軽量ゆえに金属代替材料としての期待が高い炭素繊維強化材料(CFRP)は、炭素繊維間を樹脂で固めている構造上、金属とは異なり静電気の蓄積などが生じる懸念があるが、CNTを炭素繊維表面に均一に分散させることにより、炭素繊維間の電気的接点を増やし、電気抵抗値を下げるなどの機能の付与も期待できる。
 30日から東京ビッグサイトで開催される「nano tech 2013」にて、新技術の展示発表を行う。 
 また、ホームページもリニューアルし、新技術をアピールする。

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