㈱クラレの伊藤文大社長は8月23日開催の記者懇談会席上、コア事業の能力増強、新規事業設備などに今期700億円(決定ベース)の設備投資を計画、「昨今の円高は海外投資には有利な条件であり、投資が決まっている「セプトン」、「ポバール樹脂」、「EVOH樹脂」のアメリカでの生産能力増強を前倒しで進めている」と述べた。
また、同社は中期アクションプラン『GS-wins』に掲げた事業拡大、成長に向けた積極的な施策を順次実行しているが、中期アクションプランが今年度終了することから、2012年度からスタートする次期中期経営計画を現在、策定中。 同社が2006年度より掲げている『10年企業ビジョン』では、世界に存在感を示すスペシャリティ化学企業として売上高1兆円への成長イメージを描いており、「この目標達成のためにも売上高、営業利益も上乗せしなければならず、コア事業の拡大、新事業の創出拡大に注力していく」(伊藤文大社長)と述べた。
コア事業では酢酸ビニル系事業、化学品事業、活性炭事業の拡大、新規事業の創出では環境、エネルギー、光学電子部材を中心に事業展開を図るとしており、新素材では熱可塑性エラストマー「クラリティ」、耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」などの光学部材に注力する。
世界的に競争力のある酢酸ビニル系をはじめとする基幹素材事業においてはM&A、新興経済圏市場の展開加速、既存市場の深耕などによりさらなる地域的拡大を目指していく方針だが、M&Aについて、伊藤社長は「円高ということにかかわらず、従来から関心を持っている。現在、大型案件はないが2000億円程度はいつでも準備しており、積極的に取り組んでいく」と述べた。
2011年08月23日