ダウ・ケミカル ロシアで炭素繊維中間体製造に向け調印

2013年02月11日

ゴムタイムス社

 ダウ・ケミカル日本は5日、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー、ダウ・アクサ・アドバンスト・コンポジット・ホールディングスBV(ダウ・アクサ)、ロスナノおよびホールディング・カンパニー・コンポジット(HCC)がロシアにおいて炭素繊維中間体および複合材料の製造を開始するための包括的な戦略策定に向けた覚書(MOI趣意書)に調印したと発表した。
 この合意においては、ロシア企業であるプリプレグACMおよびナノテクノロジー・センター・オブ・コンポジットの2社に対し、今後、ロスナノと共同出資することを想定している。各関係企業は航空宇宙、インフラ、エネルギー、石油・ガスおよび輸送の各分野における市場を開拓し、ロシア国内と世界市場の双方に向けた供給を目指すことで合意した。
 同社は、この合意は関係企業間の協力関係にとって重要な節目となるものだとし、ダウとロスナノの間で2011年に締結されたエネルギー効率、インフラ、軽量化材料および生命科学の分野における共同プロジェクトに関する覚書(MOU:基本合意書)で骨子を示した目標や、ダウ・アクサとHCCによるロシアでの炭素繊維製造を検討する計画を強調している。
 今回のMOIは、世界経済フォーラム(スイス、ダポス)にて、ダウ会長兼CEOのアンドリュー・リバリス氏、ロスナノCEO兼取締役会長のアナトリー・チュバイス氏、HCCのCEOであるレオニード・メラメド氏、ダウ執行副社長、最高商務責任者(CCO)、ダウ欧州・中東・アフリカ社長兼ダウ・アクサ会長のハインツ・ホーラー氏、アクサ取締役会長兼ダウ・アクサ取締役副会長のメブメット・アリ・バークマン氏が署名。また、この調印式に先立つ会合で、ダウとロスナノは、ダウとロスナノ傘下のRMナノテックとの連携について協議を行った。
 アンドリュー・リバリス氏は「MOIの締結は、ダウの技術革新と成長戦略が大きく前進したことを意味し、ロシアなど成長を続ける新興地域のニーズに応える取り組みを強化するものです。現地の有力企業と連携し、ダウ・アクサの能力を活用することで、ダウのコンポジット技術、配合および技術サービスの専門知識や、世界市場における知識および販路を役立てることができるでしょう」と述べている。
 ダウ・アクサはダウ・ヨーロッパ(ダウ・ケミカル完全子会社)とアクサ社が50パーセントずつ出資する合弁企業。炭素繊維とその派生製品を、エネルギー、輸送、インフラなどの分野に向けて提供する。
 ロスナノはロシアにおけるナノテクノロジー業界への投資を通じて経済や社会に貢献するロシアの国営企業。2011年のロシアン・コーポレーション・オブ・ナノテクノロジーズの再編により誕生した。
 HCCは高弾性・高強度の炭素繊維およびその関連製品、プリプレグを製造するロシア企業。2009年に設立。ロシアの航空宇宙、風力エネルギー、建築、輸送、造船、電力、医薬などの分野にコンポジット材料を提供している。

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