ランクセスは8日、2013年度の活動に関する記者説明会を丸ビルホール&コンファレンススクエアで開催した。
会見冒頭で、代表取締役社長兼日本・韓国代表のぺーター・ワインマール氏が2012年度に今後数年間の礎を築く重要なマイルストーンを達成したとし、インドのジャガディア拠点と米国のガスト二ア拠点において高性能プラスチックの向けのコンパウンディング工場の稼働と、中国の南通で、台湾のTSRC社との合弁事業によるアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)の新工場の稼働。さらに、中国・常州においてエチレン・プロピレンゴム(EPDM)製造プラントで起工式が行われたことなどを上げた。
ぺーター・ワインマール氏は「ランクセスにとって13年は、活況ある、チャンス多き年になると確信している。そのために、ランクセスは、継続した「グリーンモビリティ」の推進、軽量化素材、「エコタイヤ」、工業用ゴムへの注力、そして、引き続き企業責任を果たすべく、様々なCSR活動に取り組んでいく」と日本市場への方針について述べた。
ランクセスは、2013年度の年次テーマを、昨年度に続き「グリーンモビリティ」に設定し、環境対応型車社会の推進に向けて、自動車産業における持続可能なソリューションへの取り組みをさらに強化すると発表した。
同社は、日本、世界において、「車社会化」「都市化」「水資源」「農業」という4つのメガトレンドのニーズに対応する技術開発およびイノベーションを推進していく。強固なグローバルネットワーク、技術的な専門知識、イノベーションによって、日本、そして世界各地において長期的パートナーとして、日本の自動車、タイヤメーカーのニーズに応えていく。
同社では2012年度より「グリーンモビリティ」を年次テーマに掲げ、その推進に向けた取り組みを行っている。2011年度の世界総売上の約40%がモビリティ向けの製品で占められており、そのうち約17%(約15億ドル)が「グリーンモビリティ」関連製品となっている。2015年度までに、この「グリーンモビリティ」関連製品の売上高を80%増の約27億ユーロに引き上げる数値目標を掲げている。
同社は2013年度に注力する分野として、高性能プラスチックを使用した最先端の車両軽量化ソリューション、「エコタイヤ」向け合成ゴム分野、工業向け特殊合成ゴムポリマー市場の3つを掲げている。
高性能プラスチックを使用した最先端の車両軽量化ソリューション
高性能プラスチック「デュレタン」と「ポカン」、革新的な「TEPEX」コンポジットシート技術、「HiAnt」技術サービスによって、自動車メーカー向けの最先端の軽量化ソリューションを提供することに注力する。これにより、軽量で低燃費、CO2排出量の少ない車を製造することが可能となり、環境に優しい効率的な社会の実現を目指す。
「エコタイヤ」向け合成ゴム分野への注力
合成ゴムメーカーとして、燃費の向上とCO2排出量を低減する革新的なタイヤ開発をサポートする。 また、「エコタイヤ」の主要材料の1つである、高性能ゴムNd―PBR(ネオジウム触媒ポリブタジエンラバー)をSSBR(ソリューション・スチレン・ブタジエンラバー)と混合することによって、単に環境に優しいだけでなく、すぐれた耐久性を備えたタイヤの開発に貢献する。「耐久性は、現在のタイヤラベリング制度では評価対象に含まれていないが、トップランクのタイヤの中での差別化要素となると期待している」(ワインマール氏) シンガポール・ジュロン島のケミカルパークに年間製造能力14万トンの世界最大規模のNd―PBR製造プラントを建設中で、2015年上半期に稼働開始予定。
工業向け特殊合成ゴムポリマーに注力
工業向け特殊合成ゴムポリマー市場への取り組みを強化するため、2013年1月1日付けでテクニカルラバープロダクツ(TRP)ビジネスユニットを2つに分割し、全14ビジネスユニットの新体制へ移行した。 その1つであるケルタンエラストマーズ(KEL)ビジネスユニットは、事業本部をオランダのヘレーンに設置し、ケルタンEPDM事業を扱う。
分割したもう一方のビジネスユニットは、ハイパフォーマンスエラストマーズ(HPE)ビジネスユニット。EPDM事業以外の製品ポートフォリオであるアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVM)事業を取り扱い、事業本部をドイツ・レバクーゼンに置いている。
また、同社では世界各地で音楽活動への取り組みや後援を通して、若手音楽家の支援を行っている。日本では小澤国際室内楽アカデミー奥志賀とサイトウ・キネン・フェスティバル松本のプログラムの1つである「青少年のためのオペラ」を通して巨匠小澤征爾氏と共に日本で若手音楽家の支援を行っている。