ゴム連合(瀬尾進中央執行委員長)は2月16日、第47回ゴム産業労使懇談会を東京・芝公園の芝パークホテルで開催した。
昨年末の総選挙により自民党政権が復活、デフレ脱却のための施策が打ち出され、今後の経済政策の実効に期待される。こうした中、2013春季生活改善の取り組みの労使交渉の時期を迎え、今回の懇談会は経営側、労働側双方の考え方を相互に認識することをテーマに開催された。
また、65歳までの雇用継続が企業に義務付けられる「改正高年齢雇用安定法」に関して、ゴム連合各組合の対応状況についての報告も行われた。
懇談会は山本昭二書記長の司会で開会し、労使代表のあいさつが行われ、ゴム連合の藤田行哉労働条件政策部長が「春季生活改善の取り組み方針」を、経営側からは経団連の新田秀司労働政策本部主幹が「経営労働政策委員会報告」について、それぞれ説明した。
瀬尾中央執行委員長は「数多くの日本企業が海外進出しているが、1月にはアルジェリアでテロが起こり、日本人にも犠牲者が出たが、海外リスクについてよく考える必要があるだろう。企業には、そのリスクを下げる努力をお願いしたい。グローバル化はさらに進展することが予想され、安定的に成長を遂げるためには人材育成が重要になる。春の取り組みでは、連合の方針で1%の底上げが求められているが、ゴム連合では各単組の収益状況を見て取り組む方針でいる。労使双方が協議を重ねて良い方向での決着を期待する」などと語った。
続けて、日本ゴム工業会の三野哲治副会長が登壇し「日本企業は今後、グローバルに活躍する人材が必要で、若手や中間管理職からの抜擢を進め、ワークライフバランスや女性の活用など総合力を高めていく必要がある。日本の安定した雇用は強みであり、これを海外工場でも確立することが重要で、この労使懇談会で有意義な協議をすることで、将来的な進路につながると確信している」などと述べた。
懇談会は、藤田労働条件政策部長が春季生活改善の取り組み方針を説明した。市場動向や雇用情勢など取り巻く環境の分析結果を示し、連合の春季生活闘争方針を解説した上で、ゴム連合の生活改善のスタンス、具体的な取り組み方針、日程などを明かした。
取り組み日程は、2月下旬までに組合員への要求案の説明、論議を行い、要求決定・要求書提出期限は2月末まで、その後3月8日までを前段交渉期間に設定、11~12日開催予定の第4回中執並びに第3回中央委員会で交渉状況把握と解決に向けての確認事項を検討、14~18日を集中解決ゾーンとし、3月末を全単組解決期限とする。
ゴム連合では、産別としての基本は一単組では解決できないことに対して歩調を合わせる取り組みができるように目指し、全体が引き上がる展開を図る。
経団連の新田秀司氏は13年版経営労働政策委員会報告書を基に、厳しさを増す国内事業活動と現状打開への道、悪化を続ける経営環境、本格的な産業空洞化の進行、危ぶまれる貿易立国の地位、国内事業環境の早期改善に向けて、競争に勝ち、成長を続けるための人材戦略などについて触れ、今次労使交渉、協議に関する経営側の姿勢を総額人件費に対する基本的な考え方を交えつつ説明した。
このあと、高年齢者法改正への対応状況をゴム連合の木住野理栄調査部長が説明した。加盟組合を対象に実施されたアンケート結果では、再雇用制度改定協議で「解決済み」が10組合、「労使協議中」が24組合、「組合案決定」が8組合、「検討・準備中など」18組合となっている。