ランクセスは、逆浸透膜用の膜ろ過エレメント「レバブレン(Lewabrane)」製品群に、新しく3種類の製品を提供すると発表した。
新製品の膜の表面積はそれぞれ37.2㎡(400ft²)、34.4㎡(370ft²)、8.4㎡(90ft²)で、ファウリングの可能性が高い水にも利用できる。「レバブレン RO B400 FR」と「レバブレン RO B370 FR」の直径は201mm(8インチ)、「レバブレン RO B090 FR」の直径は101mm(4インチ)。全ての同製品群はポリアミド複合膜から成り、複数の層に巻かれ、スパイラル型エレメントに組み立てられている。
同社のイオン交換樹脂ビジネスユニットROプロジェクト責任者アラン・シャープ氏は、「同社の膜ろ過エレメントの特徴は、高い重合度と低い表面電荷にある。この特徴のため、濃度分極と呼ばれる現象によって、膜を通過しない溶解固形物の膜表面への蓄積を低減する」とした。さらに、新しく開発されたFRタイプには、特殊なフィードスペーサーが採用されている。「新しい膜エレメントは給水経路で大きな乱流が発生するように設計された。固形物が膜表面に溜まることを軽減する」と説明している。
膜ろ過においてファウリングとは、溶解固形物(コロイド)が膜表面に蓄積することを指し、分離能力の低下につながる。同社の新FRエレメントは、こうした状態を軽減するため、メンテナンス間隔を延長し、透過処理量を上げることができる。
同社のビターフェルド拠点(ドイツ)で生産されている膜ろ過エレメントは、工業用水処理向けに特別に設計された。用途分野には、有機物または微生物などのファウリングの可能性が高い、かん水および塩濃度の低い水が含まれる。
イオン交換樹脂ビジネスユニットは、工業用水処理向けのデザインソフトウェア「LewaPlus」を拡張した同ソフトウェアを使うことで複数の分離プロセスを用い、一体化したシステムを設計することができる。同ビジネスユニットの膜アプリケーションマネージャー、Dr.イェンス・リプニツキ氏は、「これまでの同ソフトウェアでは、逆浸透膜システムとイオン交換樹脂システムは、別々に設計することしかできなかった。拡張版では、逆浸透膜プロセスに後段のイオン交換樹脂システムを組み合わせて設計できる。必要であれば、中間脱ガスシステムを組み込むことも可能だ」としている。これは発電所の水処理での典型的アプリケーションだ。
「LewaPlus」は、後段にイオン交換システムを備えた逆浸透膜プロセスを総合的にデザインでき、脱ガスシステムまたは薬品添加による後処理を計算値に組み込むことができる唯一のソフトウェアである。いくつかの工業用途では、水の腐食特性を軽減する、あるいはpHを調節するため、塩を加える必要がある。「たとえば超純水は、水のパイプラインの金属面からイオンを溶出させる。結果として、酸化そして腐食という目に見えるダメージにつながる」とDr.リプニツキ氏は説明している。
同ソフトウェアは、イオン交換樹脂 (IX)「レバチット(Lewatit)」と逆浸透膜(RO)向け膜ろ過エレメント「レバブレン」に対応するエンジニアリングデザインの総合的なツールだ。同ソフトウェアは、フィード圧や透過水水質など、ROシステム構成と処理能力を計算する。「膜ろ過とイオン交換の組合せにより、効率と経済性を同時に実現できる。同社の膜エレメントは安定した低塩分透過水を供給し、後段プロセスにおいて塩負荷を最小限にし、効率の良い費用対効果の達成に貢献する」とシャープ氏は説明している。