企業特集 三協物産 環境マネジメントシステムを提案

2013年03月05日

ゴムタイムス社

昨年で創業50周年を迎えた三協物産㈱(東京都葛飾区、武者英之社長)は天然ゴム原料の卸、合成ゴム材料の加工販売をはじめ、各種産業機器向けの成形品、環境配慮経営支援業務(EMSTAR®事業)を展開している。
 同社の事業内容は3分の1が創業から行っている原材料の販売を占め、残りの多くを特注部品のプレス成形が占めている。成形品のなかには、労働安全衛生法で着用の義務づけられている呼吸用保護具の機能部品があり、この防災機器の分野で2011年に震災特需があったという。
 最近の需要動向は、「前年は防災機器向けの成形品が2011年と比較するとだいぶ落ち着きを見せている。またリーマンショック以前と比較すると、約8割程度回復しているが、依然として厳しい環境である。防災機器向けの製品はここ10年間を顧みると、大規模な事故・災害が発生したり、ダイオキシンやアスベストといった環境問題で労災関連の法規制が強化されると、それをきっかけに特需が発生してきた。このため『有事即応』の生産体制が求められているので、社内の成形設備の汎用化を進めるとともに、協力工場との連携も欠かせない」(武者社長)。
 また同社では2000年のISO14001の認証取得を契機に、「ゴムを通じて地球環境の保全に貢献する」というスローガンを掲げ、環境への取り組みを重視している。その一環として、2011年にはEMSTAR®事業が東京都の「経営革新計画」に認定された。EMSTAR®とは「先進的な資源管理を目指すための環境マネジメントシステム」を表し、早稲田大学環境・エネルギー研究科の永田研究室と共同研究を行っている。例えば、ゴムはプラスチックに比べてマテリアル・リサイクルが難しいので、そのゴミ(不良品)を減らすための品質管理手法の評価、ゴム成形加工業者向けの「ゼロミッション」支援システムの開発、ゴム系廃プラスチック熱回収プロジェクトの提案等である。そしてこれに付随して、東京産業廃棄物協会に加盟する等、ゴム廃棄物の運搬や管理の問題にも取り組んでいる。
 またEMSTAR®には、明治初期に第一国立銀行(現在のみずほフィナンシャルグループ)や東京商工会議所などの設立・経営に関わり、後年マレー半島でのゴム事業にも関与したことで知られる渋沢栄一の「合本の思想」が反映されている。この合本の思想とは多くの人から資本を集め(合本主義)、その連携により事業を進めていくという「独占より協同」を重視する考え方。
 最近の活動として、同社はEMSTAR®を普及させるために創業50周年を記念して、昨年12月に開催された国内最大級の環境展示会「エコプロダクツ2012(東京・有明の東京ビッグサイト)」に出展した。
「以前から各地の展示会等でEMSTAR®を紹介していたが、今回の展示会は初日から、直接ゴムには関わっていない企業様も興味をもってもらい、また環境上の問題を抱えている企業様が多いことに気づいた。EMSTAR®の内容を改善するよい機会となった」(武者社長)。
 同社は今後もEMSTAR®の認知度を高めて、その実現に向けて推進していく。