「2010年度の業績は、リーマン前の水準を上回ることができた」と語るのは、東レ・デュポンの取締役ハイトレル事業部門長の畝本康治氏。牽引役はもちろん、自動車だ。
CVJブーツをてこに、過酷な使用環境に耐える同社のエンジニアリング熱可塑性エラストマー「ハイトレル」の販売が、自動車大手の生産・出荷増を追い風に、業績回復の先導役を担った。さきの震災までは…。
「タフな国内環境下、これを打ち破るのは、技術力と、イノベーティブな発想力をおいて他にない」。クール・ビズ姿の畝本さんははっきり言い切る。
「具体的には、先の「人とくるまの技術展」に出展した、耐熱性を従来グレード比で大きく引き上げた新グレードのハイトレルに、拡販の期待を寄せている」。事実、同社ブースを訪れた客が、新グレードについて、次々に質問を浴びせかける。
すでに一部ユーザが評価試験を行っているそれは、新規耐熱難燃材HTD704Bと、同耐熱材のHTD690Bグレード。それらと現行の55Dグレードを、 160℃下の耐熱老化性を新旧比較してみせたグラフは、破断伸び時間の大きな「差異」をはっきり示しているのが、印象的だった。
2011年06月27日