ブリヂストン　イタリア・バリ工場を閉鎖

　ブリヂストンは５日、同社のグループ会社であるブリヂストン　ヨーロッパ　エヌヴイ／エスエー（ＢＳＥＵ）が４日（ベルギー時間）、ブリヂストン　イタリア　エッセ　ピ　ア（ＢＳＩＴ）が保有するバリ工場を閉鎖することを決定したと発表した。
　バリ工場は１９６２年に操業開始した乗用車用ラジアルタイヤ（ＰＳＲ）工場であり、主に汎用ＰＳＲを生産している。ＢＳＥＵはベルギーのブリュッセルに本社を構える欧州統括会社であり、ＢＳＩＴはイタリアで事業活動を展開するＢＳＥＵの１００％子会社。操業停止時期は、２０１４年上期中を予定。
　近年の欧州経済不況の影響で、欧州におけるＰＳＲの需要は、２０１１年から２０１２年にかけて約13％減少しており、第三者機関の調査によれば、２０２０年までに２０１１年以前のレベルに戻ることはないだろうとの予測もある状況。さらに、汎用ＰＳＲについては、コスト競争力を強みとする新興国メーカーなどが大きくシェアを伸ばしている。一方で、ランフラットテクノロジー採用タイヤ、ＵＨＰ（超高性能）タイヤ、ウインタータイヤといったＰＳＲ戦略商品の需要は堅調な伸びを示しており、ＢＳＥＵにとっては欧州での生産品目を戦略商品にシフトしていくことが急務となっている。しかし、バリ工場は製造設備など生産面での制約から、汎用品ＰＳＲを主力生産品目とした工場と位置付けられており、こうした戦略商品への生産シフトは困難。さらに物流費や光熱費が他工場と比較して高水準であるなど、コスト面において非常に厳しい状況にある。バリ工場でも競争力強化に向けて様々な努力を行ったが、需要構造の変化や汎用ＰＳＲにおける新興国メーカーなどの台頭、物流費や光熱費の高コストにより、最終的に工場を閉鎖せざるを得ないという結論に至ったとしている。
　同工場では約９５０人の従業員が就業しているが、ＢＳＥＵでは従業員とその家族および地域社会に対する影響が最小限に止まるよう、協議と対話をしていく方針。
　イタリア国内ではＢＳＩＴがタイヤ生産の他に南欧の販売・マーケティング拠点として事業展開しているのに加え、ブリヂストン　テクニカル　センター　ヨーロッパ　エッセ　ピ　アが欧州における研究開発の中核の役割を担っている。これらの事業体については、引き続き同社グループの重要拠点としてイタリア国内での事業を継続し、今まで以上に高品質な商品・サービスの提供と地域社会への貢献を実現していく。
　〈ブリヂストン　イタリア　エッセ　ピ　ア概要〉
▽所在地＝イタリア共和国　バリ市近郊
▽代表者名＝ロベルト　マウロ氏
▽設立年＝１９６２年
▽従業員数＝約１１００人（２０１２年12月末現在）
〈バリ工場概要〉
▽所在地＝イタリア共和国　バリ市近郊
▽生産品目＝ＰＳＲ
▽工場長名＝ロベルト　マウロ氏
▽敷地面積＝約10万５０００㎡
▽操業開始＝１９６２年
▽従業員数＝約９５０人（２０１２年12月末現在）
▽生産能力＝約２万１０００本／日（２０１２年12月末現在）