宇部興産学術振興財団は、選考委員会の受賞候補選考を経て、3月15日の理事会において、第53回(平成24年度)学術奨励者賞並びに渡辺記念特別奨励賞の対象として、応募総数136件の研究テーマから11件の受賞を決定した。「学術奨励賞」10件(各100万円)及び医師であった同財団の祖、渡辺剛二翁を記念して特に若手研究者を対象とした「渡辺記念特別奨励賞」1件(120万円)に対し、合計1120万円の学術研究費援助を実施する。
学術奨励賞受賞者は、「可溶性前駆体経由の新規n型有機半導体機材の開発」(有機化学)」を研究課題とした儘田正史氏(山形大学大学院理工学研究科助教)、「超解像光学顕微鏡による高分子鎖一本のダイナミクス評価」(高分子)を研究課題とした青木裕之氏(京都大学先端医工学研究ユニット特定准教授)ら10名。渡辺記念特別奨励賞受賞者は「Vaspinによる小胞体ストレス制御と糖尿病性腎症治療薬の開発」を研究課題とした中司敦子氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科糖尿病性腎症治療学講座助教)。
同財団は、宇部興産の初代会長である渡辺剛二翁の遺志により、学術の振興を目的として1959(昭和34)年に設立された渡辺記念学術奨励会を発展的に引き継ぐものであり、1998(平成10)年に現在の名称に改称された。わが国における学術研究を奨励し、研究施設の充実を図るとともに、学術研究を志す者を援助することで学術文化の発展に寄与することを目的としている。2010(平成22)年に内閣府より公益認定を受け、公益財団法人として登記された。
贈呈式は、6月4日(火)にANAクラウンプラザホテル宇部(山口県宇部市)にて、特別講演と併せて開催する予定。特別講演は、山口東京理科大学の戸嶋直樹教授(先端材料研究所長)に、「明日の化学-ナノケミストリーの展開-」と題して、触媒化学にとどまらず、電子材料、医学分野とあらゆる科学分野で高度分析器械の開発に伴い発展を続けるナノテクノロジーについて分かりやすく説明してもらう。聴講(無料)を希望する場合は、事前に同財団事務局への予約が必要。
なお、次回の援助金テーマの募集は、本年9月から11月を予定しており、6月に同財団のホームページに募集要項を掲載予定。