3月5日に新商品の木造住宅用制震ダンパー「MIRAIE・2×4」を販売開始した住友ゴム工業。昨年発売した在来軸組み工法用「MIRAIE」の需要動向、「MIRAIE・2×4」の意気込みを同社制振事業推進部ビジネスチームリーダーの松本達治氏に聞いた。
◇昨年販売開始した「MIRAIE」の需要動向は
「昨年のMIRAIEの実績は現時点(昨年の3月発表以降)で1500棟を超えました。多少の地域性はあるものの、東日本大震災以降、需要は全国的に広がっています」
◇「MIRAIE・2×4」について
「私たちの願いは『1棟でも多くの家にこの商品をお届けしたい』です。2011年度の国土交通省統計では、2×4住宅は全国で年間5万棟、木造軸組み工法の住宅は29万棟新築されており、今回の商品は2×4住宅用になります」
◇新商品の特長は
「大きく6点の特長があります。①基本構造として、構造用合板をベースにしたパネルタイプの制震システムであること②当社独自の高減衰ゴムダンパーは非常に硬いのが特長で、エネルギー吸収性の高い高減衰ゴムを1枚のパネルに6個採用しています③振動エネルギーを熱エネルギーに変換して地震の揺れを効率よく吸収します。これはMIRAIEと同等の性能を実物大パネル単体実験で確認しています。
MIRAIEに関しては実大振動台実験によって最大70%の揺れを吸収することを確認済みです④巨大地震の後の繰り返し発生する余震の揺れにも十分な効果を発揮し、家の損傷を軽減します⑤ゴムの経年耐久性が90年相当であることを老化促進試験で確認しました⑥定期的メンテナンスは不要である等です」
◇ハウスビルダー様にとってのメリットは
「当社独自の非常に高性能な高減衰ゴムを採用することで、制震システムの一基当たりの性能を高め、一棟当たりの設置数を減らしたことで(総延べ床面積140㎡以下の平屋および2階建ての場合、(多雪地域を除く))、X―Y方向に2基ずつ、合計4基で十分に性能を発揮します。またハウスビルダー様への直売方式を取っています。つまり、この2つを実現したことで、購入しやすい価格としてご提供できるようになりました」
◇今後の販売計画は
「東日本大震災以降、東日本中心に余震活動はいまだ続いております。文科省が発表した地震発生率は人口が密集している関東エリア、東海エリア、近畿エリアでは非常に高い値になっています。2度の被災を経験した企業として、既存住宅においても耐震性能を向上し、住む人の安全を守るため、6月にはリフォーム向け商品を発表する予定です」
同社は3月1日にビルダーをはじめ、住宅購入者に対しても認知度を高めたいという狙いでMIRAIEのホームページやカタログをリニューアルした。また2015年までの販売目標は「MIRAIE」が1万2000棟、「MIRAIE・2×4」が2500棟を目指していく。
MIRAIE・2×4の概要
■適応住宅
2×4工法用2階建て及び平屋住宅
■構造
建物1階壁部分のXY方向(建物を上から見て直交する2方向の壁部分)に各2枚ずつ計4枚(総延床面積140以下の住宅・多雪地域は除く)取り付けられた「MIRAIE・2×4」が地震の揺れに追従し、パネル左右の6箇所に取り付けた特殊な高減衰ゴムが地震の振動エネルギーを瞬時に熱エネルギーに変換・吸収することで、建物の変形を抑え、損傷を軽減させます。
■サイズ
(枠組高さは下枠下端から頭つなぎ上端までの高さ)2450mm&2750mm (製品幅は中央たて枠含む)745mm
■特長
構造用合板を使用したパネルタイプの制震システム。1つの制震システムに同社独自の高減衰ゴムテクノロジーで開発した高減衰ゴムを6個採用。振動エネルギーを熱エネルギーに変換することで地震の揺れを効率良く吸収し、高い地震エネルギー減衰効果を実現した。またその後も繰り返し発生する余震の揺れを効果的に吸収し続けることで家の損傷を軽減する。ゴムの経年耐久性は90年であることを実験で確認しており、定期的なメンテナンスが不要となるため、長期にわたり地震から大切な住まいを守り続ける。
■WEBサイト
(2013年4月1日紙面掲載)
全文:約1738文字