パイロットプラントで生産開始
日立造船㈱は4月3日、中国原産の植物、杜仲(とちゅう)茶を原料とした超高分子バイオポリマー、トチュウエラストマー」の生産技術を確立、本年2月から中国陝西省楊凌工場のパイロットプラント(50㌧)で生産を開始したと発表した。
消費者向け製品であった杜仲茶事業(平成14年度に小林製薬へ営業譲渡)への取り組みをきっかけにトチュウエラストマーの研究開発をはじめ、産業技術総合開発機構(NEDO)の支援により、トチュウエラストマーの産生機序の解明および生産技術の開発と実証試験を手がけてきた。
事業化を促進するため、バイオ協働研究所を設置し、中国に生産会社、日立造船(楊凌)生物資源開発有限公司を独資で設立した。
この生産会社は、トチュウエラストマーの安定供給と生産技術開発を目的としたもので、トチュウエラストマーは超高分子である特性を活かして、特定の産業領域において使用する機能性素材としての用途展開を見込んでおり、植物由来のグリーンサスティナブルケミカル素材として10年後には1000㌧の生産を目指す。
トチュウエラストマーは、トランス型ポリイソプレンという化合物による分子量100万に達する超高分子バイオポリマー。現在、使用されているトランス型ポリイソプレンは、ナフサを原料とした化学的合成法により生産されており、日常生活品や農薬原料などの化学原材料として使われている。トチュウエラストマーは、超高分子である特性を活かして、特定の産業領域において使用する機能性素材としての用途展開が見込まれる。また、バイオポリマーはカーボンニュートラルな素材であり、地球温暖化につながる二酸化炭素排出量の削減も実現する。
<日立造船(楊凌)生物資源開発有限公司>
▽所在地=中国陝西省
▽董事長=亀井元男
▽従業員数=12名
▽設立=平成23年8月(建屋竣工24年9月)