建築ガスケット工業会(米屋慎一会長)はJIS A 5756(建築ガスケット)改正、JIS A 5760(建築用構造ガスケット)新規制定が3月21日の公示に伴い、3月27日、東京・新橋の航空会館で業務・技術合同委員会を開催した。当日は技術顧問・正会員・特別会員・賛助館員含め約80名が参加し、JIS A 5756、JIS A 5760の両規格票と改正と新規制定の目的と主旨を社員研修用に纏めたDVDも添えて配布した。
同工業会の冨田國男専務理事の司会進行のもと、米屋会長が「当工業会が中心となりまして、この4年間にわたり、JIS A 5756の改正、JIS A 5760新規制定に携わりました。会員企業の皆様にとっても、本日は重要な会議となるのではないでしょうか。ぜひ活発なご意見、ご質問を賜りますようお願い申し上げます。今回、JISの改定にご尽力頂きました吉池先生、ならびに寺内先生に改めて感謝を申し上げ、また陣頭指揮をとっていただいた棚原技術委員長はじめ、各社の技術委員ぼ皆様方に改めて感謝を申し上げたい」と挨拶をした。
次にJIS A5756改正、JIS A5760新規制定の両規格の公示報告を冨田専務理事が行い、「準備に入りましてから、4年の歳月を要し、準備委員の皆様、原案作成委員の皆様には大変お世話になり、とりわけ吉池委員長、分科会主査の棚原技術委員長には特段のご尽力を頂戴いたしました。特に平成24年に入りまして、JISの原案を日本規格協会に提出したのち、大変多くの機会でお二方にお力を頂戴しました」と今回の経緯を述べた。
当日はプロジェクターを使用しながら、JIS A5756改正の解説は分科会主査の棚原技術委員長が担当、JIS A5760新規制定は分科会副主査の二瓶氏が担当した。
◎背景と経緯
今回のJIS A5756改正、JIS A5760新規制定では、JIS改正原案作成準備員会で素案の審議を開始して以来、4年を経過した。その背景と経緯を見ていくと、千葉大学工学部の加藤正守委員長の指導の下、1997年にISO3934(建築ガスケット)規格内容の一部を整合させることが余儀なくされた形で現行のJIS A5756が改正されてから15年も経過し、経済産業省のISO規格との整合性に対する考えも年を追うごとに変化していった。同工業会が受け入れ可能な環境に至ったこと、かつISO国際会議に参加することによって多くの情報を収集し、視野を広める機会につながった。そこで平成24年2月、日本規格協会に提出したJIS A 5756改正並びにJIS A 5760新規制定原案は日本規格協会内部審査の後、吉池委員長、主査及び事務局に対するヒヤリングを経て、昨年の6月に経済産業省産業技術環境局産業基盤標準化推進室へ提出された。当初9月頃の建築技術専門委員会における最終ヒアリングを予想したが、12月末に行うことになり、日本工業標準調査会標準部会建築技術専門委員会委員15名で構成する委員会で吉池委員長、棚原分科会主査、事務局の3名が出席し、両規格に対する最終審査が行われた。平成25年に入り、早々に訂正原案の提出を行い、平成25年3月21日に念願のJIS A 5756改正並びにJIS A 5760新規制定の公示に至った。
◎改正・新規制定の目的や経緯
■JIS A 5756改正の目的
①国際規格に対応―ソリッド・スポンジの規格統合をすることでISO3934に対応、JISA5750(建築用発砲体ガスケット)を廃止。また構造ガスケットを分離してJIS A 5760にすることでISO5892に対応、ISO/TC45に改正を提案中。さらに硬さの許容差を導入した②新しい材料の追加―硬質材料の多重成形グレイジングチャンネル用PVC等を追加した③試験方法・規格値の見直し―引用規格の見直しや実情に沿った値の見直しを行った。
■JIS A 5760新規制定の内容
①制定の経緯―構造ガスケットをJIS A 5756から分離して新規JIS A5760に制定②今回の改正の趣旨―ISO5892との整合化、同工業会がPL改正③主な改正点(旧JIS A5756から)①用語の明確化(ジッパーからロックストリップ)②種類及び記号(例図の整理→不要な部分の削除、使用温度範囲による区分の導入、SR系の削除、耐久性→熱老化性)③要求事項④試験等がある。
なお今回のJIS A5756、JIS A5760の両規格の改正、確認、廃止等の見直し時期は5年毎に行われることとなっている。
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約80名が参加した会場風景
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あいさつする米屋会長
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司会進行する冨田専務理事
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解説する棚原主査