東部ゴム商組のベルトホース部会はこのほど、部会員企業など44社を対象に、第16回「ホース流通動態調査」を実施した。12年下期(7―12月)を期間に実施、回答率は89%と高率となった。結果では、売上高は「横ばい」が大勢ながら「下落」も増加し、市場の厳しさが伺えた。しかしながら、需要の将来性では「今後は横ばい」が各品種ともトップ項目ながら「年率5%程度伸長」の回答も目立ち、需要増大への期待感も表れた。
アンケートは昨年12月に発送され、今年2月に集計・分析が行われた。ホースの定義はゴムホース(編上げ、その他)、高圧ホース(ゴム、樹脂)、樹脂ホースに区分(一部自動車用部品は除く)され、調査された。
<売上高と価格の推移>
ホース需要はリーマンショック後、22年年初から回復して上向いたが、24年夏以降は中国の景気低迷、自動車生産の不振などから停滞期に入った。
ホース売上高は対象5種全てにおいて「横ばい」が最多を占めたが、基本的には下落傾向。「順調に伸長(110%以上)」「ほぼ順調(105%程度)」の回答合計は、ゴムホース編上げが前回調査の48%から20%に減少、ゴムホースその他も48%から27%へ、高圧ゴムでは62%から33%、高圧樹脂は46%から13%に、樹脂ホースは36%から12%と、いずれも大きく減少した。
逆に「やや下落(90%程度)」「下落(90%程度)」「かなり下落(85%以下)」の回答計はゴム編上げが24%から29%、高圧ゴムは21%から34%、高圧樹脂は22%から52%、樹脂ホースは15%から45%へ増えた。とくに高圧ゴム、高圧樹脂、および樹脂ホースで需要が大きく変動している。
なお、12年のゴムホース生産・出荷実績は生産量が前年比2・5%増、出荷額は同5・8%増加した。ただし、自動車生産の減少から生産は8月以降、5ヵ月連続で減少、出荷額は9月以降、4ヵ月連続で減少。高圧用は春以降、生産量が8ヵ月連続、出荷額は9ヵ月連続で減少し、大口需要先の建機、工作機械受注額は中国の景気減速と資源国向け需要の減退により低迷したのが大きな要因とみられる。
<最近6ヵ月間の価格推移>
「全然問題ない」~「乱れている」までの5段階で回答が求められた。ゴム編上げ、ゴムその他、高圧樹脂の3品種で「まあまあ」が5割以上を占め、高圧ゴム、樹脂でも47%と半数近い数値となった。
「問題ない」「あまり問題ない」の計はゴムその他で33%、ゴム編上げ32%、高圧ゴム25%、高圧樹脂24%、樹脂22%の順。ちなみに、樹脂ホースは「やや乱れている」「乱れている」の2項目計が31%で最も高く、かつ前回調査と比べて10ポイント増と悪化幅も大きい。
<需要の将来性>
前回調査同様、全品種で「今後は横ばい」が最多回答となった。また、いずれの品種も「横ばい」が50%以上となり、高圧ホース、樹脂ホースでは6割前後を占めた。さらに「横ばい」に「伸長する」の3項目を加えた合計では、ゴムその他の63%が最低値で、最高値は樹脂ホースの88%。
「伸長する」3項目計から「減少する」3項目計を引いた数値を伸長期待値とすると、ゴム編上げはマイナス15、ゴムその他はマイナス23、高圧ゴムはプラス8、高圧樹脂はマイナス11、樹脂はプラス18となる。
高圧ゴムおよび樹脂ホースは今後3年間伸びる見込みであるが、ゴム編上げ、ゴムその他、高圧樹脂は期待薄の見方が強い。
前回調査に比べて、最も変動の大きかったのが高圧樹脂。同組合では「伸長期待値は前回のプラス4から今回はマイナス11と15ポイントの悪化となった。しかし、横ばいが62%あることから、取り扱い企業により需要の先行きに対する見方が異なっていると考えるのが自然」と分析している。
<ホースの月商>
ホース全品種の合計平均月商を「500万円未満」から「1億円以上」の9段階に分けて回答が求められた。前回調査と比較すると「500万円未満」は23%で変化はないが「1000万円以上~2000万円未満」から「4000万円以上~5000万円未満」までは比率を減らし「5000万円以上」「7000万円以上」「1億円以上」は比率を上げた。
月商規模が少ない企業には大きな変化はみられないが、中規模以上の企業では基本的に増加傾向にあることが伺える。売上高規模で「2000万円未満」以下は前回調査に比べ4ポイント減の39%、中位の「2000万円以上」~「5000万円未満」は同10ポイント減の26%、「5000万円以上」より上は14ポイント増の36%という分布となった。36%の数値はリーマンショックのあった第14回調査の33%を超え、ホース売上高は取り扱い企業の2極分化が進んでいるようだ。
3年後のホース売上高予測は「増える」予想が38%で、これに「横ばい」59%を合わせると97%になり、楽観的なものとなっている。3年後のホース売上高が総売上高に占める割合については「横ばい」が最も効率で56%、「減少(下がる)」回答は21%で前回調査に比べて6ポイント減少した。「増える」回答は23%で「減る」回答を上回ったのはバブル期以来となる。
<販売上の問題点>
ゴムホースは「需要が少ない」、高圧ホースと樹脂ホースは「価格競争が激しい」が最多回答となり、次いで「粗利率が低い」「競合先が多すぎる」となっている。需要が減少している中で競争が激しくなり、各社は粗利率を抑えて販売しているという販売上の問題点が浮かび上がる。
<輸入品の影響>
国内ホースメーカーが輸入販売する商品は除く条件で調査された。「輸入品の影響を受けている」と回答した企業は前回調査比1社減の21社。調査を重ねるごとに「受けている」回答は増加しているが、各品種とも調査時期により増減の差があり、一定傾向にあるとは言えないようだ。「将来、影響を受けると思う」と答えた企業は品種により15~22社あり、対象企業の6~8割を占める。この数値に大きな変化はみられない。
<ホースのトラブル>
高圧ゴムが12件でトップだったが、前回調査比7件の減少。トータル件数は37件で変化はみられない。トラブルの事故内容をみると、ホースの破損が全品種で揚げられており、全体の33%で最多回答。これに金具締め付けのトラブルを加えると全体の57%となり過半数を超えた。なお、PL法関係のトラブルについては第12回(16年)、第13回(18年)調査で各2件あったが、その後はゼロとなっており、今回もゼロだった。