電気化学工業 DENKA100見直し 全社攻めの体制にシフト

2013年04月15日

ゴムタイムス社

 電気化学工業は4月10日、本社で記者会見を開き、経営計画「DENKA100」の見直しを発表した。
 DENKA100は、同社が設立100周年を迎える15年までの間の基本的な活動指針を定めるとともに、営業利益600億円以上、営業利益率10%以上、海外売上高比率50%以上の達成などの数値目標を定めた、「更に一段上のステージ」を目指すための長期経営計画。
 同社では、07年よりスタートした同計画に基づき、クロロプレンゴムの大型投資など成長製品への積極投資を行なってきた。
 しかし、欧州債務問題に起因する世界景気の低迷や超円高などの経済環境の悪化に加え、市場の需要構造や末端ニーズ・トレンドの変化が想定を遥かに超え、部門別では「CRは世界経済の影響をダイレクトに受け、スチレンでは原料高の傾向が続いており、汎用になるほど採算が悪くなる」(吉高社長)など、経済環境が激変したため、15年度までの目標年度内での達成は困難と判断した。
 今回、DENKA100を確実に実行するため、目標達成年度を2年先延ばしの17年度とし、市場変化に即した軌道修正を行った成長戦略を新たに定めることとした。
 新成長戦略では、①生産体制の最適化②徹底したコストの総点検③成長分野への経営資源集中と次世代製品開発への取組、の3つの柱を設定した。
 生産体制の最適化では、「クロロプレンゴムの新規設備を、アメリカおよびアジアで検討する」(吉高社長)など、海外市場向け製品は極力現地生産とし、国内工場は、内需製品およびハイエンド品に特化する。また、汎用品の一部については他社との提携、協業等の事業再構築を加速させる。
 コスト削減では、国内外全ての拠点について、国際競争に耐え得るか否かを基準に据え、生産プロセス、収率、原材料、修繕などあらゆるコスト項目について、過去の慣習に囚われず、総点検を行い、5年間でのコストダウン目標100億円を目指す。
 成長分野への集中では、「環境」「エネルギー」「インフラ」「健康」などを成長分野とし、同社が持つ強みや経営資源を集中するとともに、新たな市場ニーズをいち早く新製品開発に結び付けるため、全社を「攻め」の体制にシフトさせる。
 建設中のデンカイノベーションセンターを利用し、外部パートナーとの取組を強化する。また、組織経営体制を刷新し、従来のシーズをベースとした6事業部制を廃止し、より市場に密着した製品展開を図るべく、分野別にエラストマー・機能樹脂部門、インフラ・無機材料部門、 電子・先端プロダクツ部門、生活・環境プロダクツ部門の4つの部門に再編する。
 次の100年に向けた取り組みとして、青海工場水力発電所やメガソーラー事業など環境、エネルギー対策などに総額100億円以上投資する。

経営計画を説明する吉高社長

経営計画を説明する吉高社長

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