無理なく退職金を支給させる方法
前回のコラムで次回は株価計算について記載すると申しましたが、予定を変更して株価の件は後日に回させていただき、前回ご説明いたしました「事業承継に伴い会社から収入を得る3つの方法」について1つ1つを更に具体的に述べてみたいと思いますのでご了承くださるようお願い申し上げます。
今回は、1つ目の退職金についてご説明いたします。算出方法は前回述べましたので、退職金をどのように準備していくかを今回は考えます。
退職金を受け取るにあたって、会社に資金繰りに困らないだけの現預金や有価証券等が有れば、問題は無いのですが、現実はそうではない場合が多々あります。このような場合は退職の時期を前もって予定し、内部留保を積極的に実行していく事が大事だと考えられます。
その1つとして、ハーフタックス・プランの生命保険を退職時期に合わせて掛けていくという方法があります。ご存知かも知れませんが、ハーフタックス・プランの生命保険は掛けた保険金の半分が経費に参入出来、後の半分は資産として計上することが出来ます(昨年までは掛けた保険金が全額経費に成るようなものもありましたが、今ではその様な全損生命保険は税務上廃止されています)。その為、この生命保険は解約したときの返礼率が大変高く、退職金を賄う金額を用意する手段として適しております。
ハーフタックス・プラン以外にも方法はいくつもあります。例えば、土地や車等の資産を現物で退職金にあてる方法もあります。他の考えとして、退職金として全額を貰うのではなく、お持ちの株式をそれなりの価格で買い取って貰い不足分を補うという方法もあります。この方法では、事業承継者が親族でない場合は、株式の価格をある程度高く算定することが法的に許されます(親族の場合は、税法で決められた適正価格にする必要があります)。株式は承継者が全て買い取らなくても、社員持株会等を作り承継者と社員が買い取るという方法があります。これですと、承継者の負担も少なくなりますし、社員にも自分達が会社の株式を持っているという自覚が生まれますので、より会社に愛着を感じ頑張る意欲も出てくると思います。また、これは最後の手段ですが、金融機関等から借り入れを起こす方法もあります。ただ、退職金を金融機関等から借り入れをして充てるという事は、承継者にとっては不利になりますので、あまり現実的な方法ではありません。やはり、退職金を借り入れ無しで堂々と支払えるということは残された会社の経営者や社員に取っては気持ちの持ち方が違うと思います。
それから退職金は、退職時に全部を支払う必要は有りませんので、株主総会で決議をすれば、分割払いの方法も可能です。
次回は、退職後も会社から一定の給与を取る方法等についてお話したいと思います。
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