独ランクセスは、香港サイエンスパーク(香港科技園)に高性能プラスチック分野の「アジア太平洋地域用途開発センター」を開設したと発表した。
この用途開発センターは同社のハイパフォーマンスマテリアルズ(HPM)ビジネスユニットに属し、自動車産業やその他の分野向けに、コンセプト開発サポート、CADやCAE、金型デザインサポートから部品試験にいたるまで、包括的で高付加価値のサービスを提供する。
同センターは、アジア太平洋地域とインドの顧客向けの技術ハブとしての役割を担う。新用途の開発における全ての段階で、射出成形およびブロー成形部品ならびにコンポジットシート用途向けの包括的な技術サービスを顧客に提供。技術サポートの範囲は、初期のフィージビリティスタディから高度な技術試験まで広範囲にわたる。
同ビジネスユニットのアジア太平洋地域テクニカルマーケティング&エンジニアリングサービス統括であるトーマス・バーベル氏は「この新設の用途開発センターは、新たな用途やプラスチック部品の実用化を目的とし部品開発や認証において顧客や業界のパートナーをサポートする。トップクラスのシミュレーションツールで、コスト削減、環境保護、省エネルギー、市場展開までの期間短縮などにおける革新的なソリューションを提供することができる。同センターは、顧客の技術仕様に応じて試作品および大量生産部品の信頼性、性能、そして適合性の評価のサポートを行う」と述べている。
優れた施設やサポートサービスを備えた香港サイエンスパークは、数多くの先進企業や機関、地域の大学との専門知識の共有や共同研究、交換プログラムなど広範囲にわたるネットワーク構築の機会を提供する。この独自の可能性や科学技術開発の最先端であることが認められ、World Finance誌により「Technology and Innovation Park of the Year - Asia 2012」に選出された。「香港サイエンスパークは、同社の新しい用途開発センターとして理想的なロケーションだ」とバーベルは述べている。
同ビジネスユニットの同地域統括バイスプレジデントであるクリストフ・クログマン氏は、「香港のアジア太平洋地域用途開発センターは、同社の無錫(中国)の研究開発センターを補完し、共同事業や顧客の需要に注力していく。300以上の様々な規模の先端技術企業や学術機関を有する香港サイエンスパークは、同社の科学開発における提携事業にさらに多くの機会を与えてくれるだろう」と述べている。
同センターは、エンジンルーム、シャーシ、エンジンおよびオイルパンなどの自動車産業におけるプラスチック用途向けに試験サービスを提供することで、拡大する「グリーンモビリティ」の需要に対応する同社の将来性を強化する。クログマン氏は加えて、「高性能プラスチックは、金属の軽量化代替素材として車両重量と燃料消費を軽減することで、メガトレンドである『グリーンモビリテ ィ』において非常に重要な役割を担っている。同社の技術ノウハウ、軽量化ソリューションの専門知識、ならびに高性能製品群の『ポカン(Pocan)』『デュレタン(Durethan)』で、より環境に優しい未来へ自動車産業を牽引することに同社は取り組んでいる」と、述べている。
自動車製造における軽量化構造の傾向を受け、同社は同地域での製造能力拡大に投資することで、ハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットの製品の需要拡大に迅速に対応している。無錫(中国)では、2011年に高性能プラスチック製造工場の拡大が完了し、年間製造能力を約2万トン増の合計約6万トンに増強した。2012年、同社はジャガディア(インド)で、新コンパウンド工場(初期製造能力=年間2万トン)の稼働を開始した。この2拠点から、同地域全体に「デュレタン」と「ポカン」を提供していく。ハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットは、同社のパフォーマンスポリマーズ部門(2012年売上高=52億ユーロ)に属している。
2013年04月19日