JSRの2013年3月期連結決算は売上高が3714億8700万円、前期比6・2%増、営業利益352億600万円、同2・1%減、経常利益434億7600万円、同4・6%増、当期純利益302億7800万円、同14・7%増の増収増益となった。
売上高はエラストマー、合成樹脂、多角化事業ともに増収となったが、エラストマー事業での海外市況の軟化、固定費増が響き、営業利益は若干減となった。経常利益は期末にかけての円安による為替差益が利益を押し上げ、当期純利益は法人税実行税率の改善、海外子会社の税額負担の軽減が寄与した。
エラストマー事業は東日本大震災の復興に伴う需要増で合成ゴム販売数量が前期比7%増の67万5512トンとなり、売上高も前期比8・3%増の1957億9700万円となった。エコ・タイヤの需要伸長で四日市工場で増設した溶液重合SBRの出荷増が寄与した。補修用タイヤの生産減、欧州での海外市況悪化、固定費増により営業利益は179億2300万円、前期比7・4%減となった。合成樹脂事業は原材料価格変動に対応した価格改定とコストダウン推進により、売上高517億5800万円、前期比1%増、営業利益29億6200万円、同38・6%増の増収増益となった。
多角化事業部門の売上高は1239億3100万円、前期比5%増、営業利益は143億2000万円、同1%減となった。半導体材料、FPD材料の売上高は前期並みとなったが、戦略事業では耐熱透明樹脂「アートン」が位相差フィルム向けに好調推移したことから売上高が前期を大幅に上回った。
今期の業績見通しは対面業界である自動車、タイヤ、半導体、フラットパネル、ディスプレイの各市場が緩やかに成長すると想定、石油化学系、多角化事業のトップラインの拡大に加え、収益力強化プロジェクト「E-100plus」の推進により、売上高は過去最高の4150億円、前期比11・7%増、営業利益430億円、同22・1%増、経常利益470億円、同8・1%増の増収増益を見込んでいる。為替相場は95円/㌦、ナフサ価格は6万3000円/klと想定。
エラストマー事業は特に欧州・韓国のラべリング制度導入に伴うエコ・タイヤ用S-SBRの需要拡大、タイのJBE新プラント稼働の寄与を含め前期比10%増を見込んでおり、為替円安も追い風で現在の輸出比率35%を40%まで拡大させる。今期の年間配当は前期比4円増の38 円に増配する。
2013年04月25日