東邦テナックス、三菱レイヨン、東レは、航空機、自動車などの一般産業、スポーツの各用途で需要が拡大する炭素繊維のリサイクル技術を量産技術として確立するため、3社が共同出資する「炭素繊維リサイクル技術開発組合」を設立し、技術開発活動を行う。
炭素繊維のリサイクル技術開発については、2006年から経済産業省の補助事業である「炭素繊維リサイクル技術の実証研究開発」により福岡県大牟田市エコタウン内にパイロットプラントを建設し、また2009年からは福岡県および大牟田市からの支援も得て、炭素繊維協会の活動として基礎技術開発に取り組んできた。その結果、樹脂残渣の低減、繊維長制御、金属系異物除去などのリサイクル手法に関する基礎的な知見を見出したことから、炭素繊維協会は当初の開発目標を達成したと判断し、2012年3月末をもって協会の開発活動は終了し、同組合がパイロットプラントを引き継いで更に技術を深化させていくこととした。
炭素繊維はその製造過程において、地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(二酸化炭素)を排出するが、炭素繊維を使用した製品のライフサイクルを通しては、軽量化効果により二酸化炭素排出量を大幅な低減が可能なことから、地球環境問題の解決に貢献する素材として、航空機や自動車などへの採用が拡大している。更には、天然ガス車や燃料電池車の圧縮ガスタンク、風力発電機翼などクリーンエネルギー関連素材として大きく需要が拡大することが期待されている。
こうした需要拡大に対応して、炭素繊維のリサイクルに関する市場の関心は高まっている。世界の炭素繊維生産において大きな役割を担っている日本の炭素繊維メーカーにとって、リサイクル技術を量産技術として確立することは、炭素繊維のライフサイクルを通じた循環型社会実現のために急務となっており、3社は協力態勢で開発を加速していく考え。
2013年04月30日