東レは13日、中国の樹脂事業統括子会社である「東麗塑料(中國)有限公司」の現地生産拠点、「東麗塑料(深圳)有限公司」(TPSZ)において、トレカ樹脂のコンパウンド設備を新設し、約2億円を投じて、年間2500トンの能力を持った設備を導入し、2013年6月に稼動を開始する計画を発表した。
トレカ樹脂は、エンジニアリングプラスチックなどの熱可塑性樹脂に同社の炭素繊維トレカをコンパウンドすることで強度を持たせた炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)で、強度や弾性率が高い、電気伝導性が良い、耐摩耗性に優れ表面が滑らかであるという特徴がある。そのため、カメラやパソコンなどのデジタル機器、ベアリングやギアなどの回転部品、スポーツ器具、高級家電、自動車向けに需要が伸びていくことが見込まれている。
CFRTPの世界需要は年率約10%以上の成長が見込まれており、2012年の約3万トンから2020年には約7万トンになると予想され、中でも中国では特に大きな伸びが見込まれている。同社はTPSZにトレカ樹脂のコンパウンド拠点を設置し、現地生産による顧客への迅速な対応や、きめ細かい技術サービスを提供することで、今後拡大する中国でのトレカ樹脂の需要をいち早く確実に取り込み、事業拡大を図っていく方針。
同社は現在進行中の中期経営課題「プロジェクトAP―G2013」における成長戦略の一つとして、「アジア・新興国事業拡大(AE)プロジェクト」を推進している。中国は今後も安定的な成長が見込まれる主要な地域と考えられており、今回のコンパウンド設備の新設もこのAEプロジェクトの一環。
また同社はABSやナイロン、PBT、PPS等様々な熱可塑性樹脂の品揃えを持つ樹脂の総合メーカーとしての強みをいかし、顧客のニーズに総合力で応対、「素材には根本的に社会を変える力がある」という考えのもと、より豊かな社会の実現に向けて「素材」で貢献する企業集団であり続けるとしている。
2013年05月14日