ランクセス 13年第1四半期 タイヤ需要軟化で減益

2013年05月16日

ゴムタイムス社

 独ランクセスは9日、2013年度第1四半期の業績を発表した。
 同社の第1四半期業績は、特にタイヤおよび自動車産業の需要の軟化に伴い、予測通り減益となった。
 連結売上高は、販売量の減少および製品売価の値下げが主な要因となり、前年同期比12%減の21億ユーロ。特別項目調整前EBITDAは、同53%減の1億7400万ユーロとなり、2013年3月の業績発表時の予測範囲内(1億6000万ユーロから1億8,000万ユーロ)となった。これにはシンガポールの新ブチルゴム製造プラントの稼働、およびオランダ・ヘレーン拠点のEPDM(エチレン・プロピレンジエンゴム)製造プラントにケルタンACE技術を導入した製造設備変更のための一時的な費用約3000万ユーロが影響したものと見られる。
 特別項目調整前EBITDAマージンは8・3%(前年同期15・5%)に減少し、純利益は同87%減の2500万ユーロ。
 同社は柔軟な資産管理およびコスト管理の最適化の方針に沿って、早くも今年初頭にパフォーマンスポリマーズ部門の複数のプラントを一時的に閉鎖。さらに、パフォーマンスケミカルズ部門においても追加の措置が予定されている。また、同社は2013年の設備投資予算額を前回発表時の6億5000万~7億ユーロから6億ユーロに縮小した。
 地域別業績では、全地域の売上高が2ケタ台の減少率を示した中で、アジア太平洋地域だけが前年同期とほぼ横ばいの5億3000万ユーロを達成し、グループの総売上高の25%(前年同期:23%)を占める。EMEA(ドイツを除く欧州、中東、アフリカ)地域は、グループ最大の売上高を誇る地域となったが、売上高は同11%減の6億2300万ユーロとなった。これは総売上高の約30%(前年同期:29%)を占める。ドイツの売上高は、同11%減の3億7000万ユーロで、総売上高の約18%(前年同期:17%)を占めている。北米地域の売上高は、同23%減の3億2700万ユーロで、総売上高の約15%(前年同期:18%)を占めます。売り上げ減少の主因は、原料を外部に販売する代わりに自家消費に充てたため。中南米地域の売上高は、同19%減の2億4500万ユーロで、総売上高の12%(前年同期:13%)を占める。BRICS5ヵ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の売上高は、同11%減の4億9200万ユーロで、総売上高の24%(前年同期:23%)を占める。
 事業分野別の業績では、パフォーマンスポリマーズ部門の売上高は同約18%減の11億ユーロ。原料価格の低下が製品売価の値下げに繋がり、さらに、自動車およびタイヤ産業の需要低迷が原因となり販売量が減少した。特別項目調整前EBITDAは同56%減の1億1200万ユーロ。約3000万ユーロの一時経費が減益要因となった。
 アドバンスト中間体部門は、農薬分野の堅調な需要により安定した伸びを示した。売上高は、同1%増の4億3300万ユーロ。原料の高騰は、製品売価に転嫁したが、前年同期の好業績と比較すると、建設および塗料業界の需要の低迷に伴い、販売量は減少した。特別項目調整前EBITDAは同100万ユーロ増の7100万ユーロとなった。
 パフォーマンスケミカルズ部門の売上高は同7%減の5億2000万ユーロとなった。長引いた冬期が建設業界の需要低迷を引き起こしたことと、同ビジネスユニットがタイヤ産業に関連しているため、販売量が減少した。製品売価は安定を維持。特別項目調整前EBITDAは同3200万ユーロ減の5100万ユーロとなった。
 今後の見通しとして、同社は、第2四半期は緩やかな復調を見込んでいる。「タイヤおよび自動車産業の需要の低迷は続きますが、顧客の在庫状況は改善しています。ランクセスは、第2四半期の特別項目調整前EBITDAは徐々に回復すると見込んでいますが、2億2000万ユーロを下回ると予測しています」とアクセル・ハイトマンCEOは述べている。また、追加の対策に発生する特別損失は、数千万ユーロの見込み。
 農薬の需要は引き続き堅調で、建設業界では緩やかな回復を予測しており、メガトレンドの自動車、農薬、都市化、水資源の動向はそのまま継続すると見ている。
 同社は、2013年度通年の特別項目調整前EBITDAは10億ユーロを下回ると予測。中期利益目標として掲げている特別項目調整前EBITDAの目標値(2014年度:14億ユーロ、2015年度:18億ユーロ)は維持可能の見込み。

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