独ランクセスは15日、イオン交換樹脂 「レバチット(Lewatit)」製品群に小粒径グレードの次世代製品を追加し、提供を開始すると発表した。
同社の液体高純化テクノロジーズビジネスユニットの用途開発の責任者であるステファン・ノイマン氏は4月8日、米国テキサス州ヒューストンで開催された塩素学会のテクノロジーシンポジウムにおいて、この新たに開発された小粒径のイオン交換樹脂の特性と用途について発表した。
このような、均一粒径でマクロポーラスなキレート樹脂は、イオン交換膜法によるクロルアルカリ電解に使用する塩水の精製に特に効果的だ。さらに、最新世代の一層敏感なイオン交換膜へのダメージを効果的に防止する。
新樹脂グレードと従来グレードの決定的な違いは、ビーズの直径。「レバチットMDS TP208」などの均一小粒径(MDS)グレードは、直径わずか390マイクロメータで、一般的な均一粒径グレードの「レバチットモノプラスTP208」より40%小さくなる。このサイズの違いは、単位体積当りでビーズ表面が約2倍になることを意味する。その結果、MDSグレードは、反応速度に優れ、再生効率が高く、総交換容量および、特にアルカリ土類金属カチオンに対する運転高官容量が著しく高くなっている。また、このMDSグレードは、機械的にも浸透圧ショックにおいても高い安定性を備えている。
バリウムとストロンチウムイオンの塩水からの除去も効率的に行うことが可能。他の多くの樹脂では選択性が低く、反応速度が遅いことを考慮すると、これは卓越した特性。キレート樹脂は、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属も除去する。キレート樹脂からのイオンの漏えいを低くすることは、電解膜の寿命を延長するのに役立つため、重要なメリットとなる。膜開発の継続的な進歩により、アルカリ土類金属イオンに対する許容濃度は今後ますます低下すると考えられるため、イオンの漏えいの点で優れるMDS樹脂は大いに期待される。
MDSグレードは、膜および樹脂の寿命延長、再生剤量の低減および廃水量の削減による運転コストの低減、樹脂のサイクル時間の延長、塩水の処理量の増大などの効果から、電解企業に多数の経済的メリットをもたらす。
新しい樹脂グレードは、ドイツにおいてすでに工業規模で順調に使用されている。
「しかし、MDS樹脂はかさ密度が高いため、標準グレードと比べて、より大きな圧力損失、および逆洗展開を示すことに留意する必要がある。さらに、懸濁物質に対して一層敏感に反応する」とノイマン氏は説明している。
イオン交換膜法によるクロルアルカリ電解に加えて、MDS樹脂は、最新世代の電解セルを用いた塩水の超高純度化を含め、その他の用途への適用の可能性が挙げられる。MDS TP樹脂の卓越した製品特性は、その他の用途においても大いにメリットをもたらす。
液体高純化テクノロジーズビジネスユニットは、パフォーマンスケミカルズ部門(2012年度の売上高=22億ユーロ)に属している。
2013年05月17日