ブリヂストンは、自動車技術会が主催する第63回自動車技術会賞において、同社が新たに開発したタイヤ計測・解析技術が論文賞を受賞したと発表した。
論文名は「タイヤ踏面内剪(せん)断力分布の計測・可視化技術」。タイヤ研究部の桑山勲氏、松本浩幸氏、平郡久司氏の三名が受賞した。
今回の受賞技術は、これまで時速5km以下の低速走行時しか計測できなかったタイヤ接地面の挙動を、一般的に使用される街乗り走行からサーキットなどの高速走行時まで、高精度で計測・可視化することを可能とした計測・解析技術。これにより、低燃費性能と運動性能を高次元で両立させるタイヤの実現、また開発期間の大幅短縮に成功している。
タイヤ開発において、転がり抵抗低減と運動性能向上を両立するには、タイヤ接地面の挙動を詳細に観察することが不可欠だが、これまでの計測方法では低速走行状態に限られており、高速走行状態における実際の挙動を計測することは極めて困難だった。この課題を解決するため、「センサー内蔵ドラム」、「タイヤスタンド」、「超高速データ計測・処理装置」を新たに開発し、これらを組み合わせることで、高速走行時にタイヤ接地面で発生する転がり抵抗力や制動力を、ブロック単位まで計測・解析可能とする画期的な技術を確立した。
この技術を適用することで、環境性能と安全性能を高次元で両立させる新しいタイヤ開発に貢献した点、今後幅広いタイヤの性能向上への応用が期待できる点が評価された。
同技術はすでに、タイヤの転がり抵抗とウェット路面でのグリップ性能を等級化して表示するラベリング制度で、業界初の最高グレードAAA-aを達成した「ECOPIA EP001S」や、同社の新たな環境タイヤ技術「ラージ&ナローコンセプトタイヤ」の開発に用いられている。今後は、同技術を乗用車用タイヤから大型トラック・バス用タイヤなど幅広いタイヤの開発に活用していき、その適用範囲を広げていく構えだ。
同社は、今後も新たな技術を開発し、製品へ適用することで、顧客により安全性や環境性に優れたタイヤを提供していくとしている。
2013年05月28日