ユニチカ 日本化学会で優秀講演賞を受賞

2013年05月30日

ゴムタイムス社

 ユニチカは28日、同社が独立行政法人産業技術総合研究所ナノシステム研究部門ナノケミカルプロセスグループ(以下:産総研)と共同開発した「柔軟で耐熱性に優れたポリイミド=シリカナノコンポジット多孔体」が、日本化学会で「優秀講演賞(産業)」を受賞したと発表した。
 同研究は、3月22~25日に開催された日本化学会第93春季年会にて発表された。

 ポリイミドは、ポリマー中で最高レベルの耐熱性や強度を有しており、絶縁性や耐薬品性などにも優れていることから、耐熱材料や電子部品用の絶縁材料として幅広く用いられている。しかし、近年、電子材料の小型化・薄型化に伴い、電子回路の高集積化が進んでおり、より誘電率の低い絶縁材料が求められるようになってきた。また、最近では、熱エネルギーを有効に利用するため、100~300℃程度の温度領域で、自動車などで使われる複雑な形状の機械部品に使用できる断熱材へのニーズが高まっており、そのような絶縁材料や、断熱材料として、ポリイミドを多孔質化することにより得られる多孔質ポリイミドが有望視されている。
 そこで、高性能な多孔質ポリイミドの開発を目的として、同社は産総研と共同で、多孔質ポリイミドにシリカをナノコンポジット化する技術開発に取り組んできた。
 その成果として得られた「ポリイミド=シリカナノコンポジット多孔体」は、高圧二酸化炭素を用いた製法により作製できる多孔質複合材料。直径20~30マイクロメートルの均一なセルを有する多孔構造からなり、さらに、セルの壁は50~100ナノメートルのシリカ微粒子を内包する数十ナノメートルサイズの微多孔を形成している。
 空隙率が高いうえに、柔軟性、耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れるなど、汎用の発泡ポリマーにはない多くの特長がある。セラミックス系の多孔質材料と比較しても非常に軽量であることから、軽量性や耐熱性が求められる部位での断熱材料や絶縁材料としての用途展開も可能で、省エネルギーへの貢献、電子材料の特性向上へのさらなる貢献が期待できる。

ポリイミド=シリカナノコンポジット多孔体

ポリイミド=シリカナノコンポジット多孔体

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