東洋ゴム マレーシア工場竣工記念式典を開催 Rebecca次官ご挨拶

2013年06月03日

ゴムタイムス社

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竣工式式典 Rebecca次官挨拶

 在マレーシア日本国大使館 中村滋特命全権大使、東洋ゴム工業株式会社会長 中倉様、トーヨータイヤマレーシア センドリアン バハッド 社長 笠井様、ご出席の皆様、まずToyo Tyre MalaysiaにMITIと私を竣工式式典へ招待してくださった事に対しお礼を申し上げます。東洋ゴムの海外施設では最大であるこの148エーカーの敷地に来る機会を与えられ光栄です。

 さらに東洋ゴム工業のトップにはマレーシアをアジア拠点としてお選びになったことを祝福いたします。変化する競争について個人的観点をお話いたします。皆さんの業界は技術発展や環境に優しい商品により詳しくなる消費者だけではなく、経済統合を強化しようとする国策にも影響されています。

 現在の市場を見てみましょう。2012年の世界ゴム製品輸出額はUS$1,485.8億であり、このうちタイヤは62%、US$921.3億でした。

 マレーシアの2012年度タイヤ、および関連製品の輸出額は前年から3.3%伸び、8.073億マレーシアリンギでした。つまりまだ輸出を伸ばす余地があります。主な輸出先は中国(30.1%)、米国(19.8%)、ドイツ(4.4%)、日本(3.8%)、タイ(3.0%)、ブラジル(2.7%)、英国(2.6%)、オーストラリア(2.5%)です。

 次に技術発展、及びより環境にやさしい商品に目を向けて見ましょう。タイヤ業界の大きな課題のひとつが環境課題をどのように乗り越えるかです。この業界は環境保護団体から常に批判されています。しかし二酸化炭素排出量を削減するための研究が多く進められてもいます。

 MITIの自動車産業政策はEEV、低燃費自動車、を重視しています。この業界が二酸化炭素排出量を生産から使用まで、バリューチェーンを通し、管理するようにしたいのです。これは政府のCO2排出量を2020年までに40%削減する目標に沿ったものです。自動車、すなわちタイヤはいたるところに存在するのでこの業界は削減に向け大きく貢献できます。

 従ってこの新たな施設に東洋ゴムが乗用車、4×4、SUV、および軽トラック向けのハイパフォーマンスタイヤや低燃費タイヤを生産するためにAdvanced Tyre Operation Module(ATOM)を導入するのは心強いです。皆さんの努力は環境だけではなく事業的にとっても良いものです。 環境に優しい商品のR&Dを業界が進めるなか、同じく重要な点があります。リサイクルとスクラップの管理です。2020年にマレーシアでは年間約2000万個のスクラップタイヤが処分される予測です。これは環境への脅威であると同時ビジネスチャンスでもあります。行政と業界が手を組み使用済みタイヤの回収および再生に関するアプローチを考え出さなければいけません。  つまり業界が直面する一つ目の競争は技術発展によるものであり、これは単に環境に優しい生産工程や利用法だけではなく使用済みタイヤの処理も含みます。

 業界への2つ目の競争は皮肉にも地域経済統合を強化する事によって生じます。これはマレーシアの二国間FTAやASEANおよびAPECで進めている作業です。ご存知のとおりASEAN Free Trade Agreement、AFTAはすでに実行されています。ASEAN Economic Community、AEC、に向けた準備も進んでいます。パートナー国とのFTAも順調です。次のステップは統合と調和化をさらに深めることでありRegional Comprehensive Economic Partnership、RCEP、を通して行っていきます。RCEPはアジアの主要国、ASEAN+中国、日本、韓国、インド、オーストラリアおよびニュージーランドを束ねます。地域経済統合案の中ではもっとも野心的であり、実現すれば人口が30億人以上、全体のGDPがUS$17兆ドルで世界貿易の40%を占める地域の統合となるのです。

 RCEPに取り組むと同時にマレーシアはTP、P環太平洋戦略的経済連携協定、に参加しております。日本がTPPの12メンバーに入ったことを嬉しく思っています。このFTAは市場へのアクセス拡大、規制を調和する事によりビジネスチャンスを増やし、そして商業の予測可能性、透明性を促進します。これらはビジネスにとって良く、人々のためにもなります。しかしこのような経済統合は多国間システムの代行として行われているのではなくWTOの規制と一貫性を維持しています。このような交渉は働きがいのあるものです。

 欧州の経済危機、米国の低迷する成長などを見ると我々が行っている地域経済統合、規制の調和、およびビジネスコストの削減は事業にとって理がかなっています。マレーシアは地理的にアジア太平洋地域の活気を有利に活用できます。そういう意味でも東洋ゴムのトップがマレーシアに生産拠点を拡大したことは正しかったと思います。

 最後に再度Toyo Tyre Malaysiaに祝福しMITIやその他の省庁、特にMIDAは、皆さんのマレーシアでの活動を今後も支援いたします。Toyo Tyre Malaysiaの竣工式に立ち会うことができ嬉しく思います。

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