東海ゴム工業は2月にイタリアの自動車用ホースメーカー、Dytech―Dynamic Fluid Technologies S.p.A.を買収し、子会社化したのに続き、先に買収したドイツの自動車用防振ゴムメーカー、Anvis Group GmbH(略称:Anvis 社)の子会社化を完了するなど、自動車用防振ゴム・ホースの両事業において、グローバル相互補完体制を整備しているが、これにより今期の同社の海外売上高比率が51%に達することが明らかとなった。
5月31日、東京本社会議室で13年3月期決算概要の説明に当たった尾崎俊彦取締役執行役員副社長は、「2015年度を最終年度とする中期経営計画『2015年 TRI GROUP VISION』に掲げている、日系自動車メーカーへのさらなる拡販と海外自動車メーカーへの本格参入を推進しており、今期もインドネシア、インドの防振ゴム、ホースの能増、ベトナム工場の新設、アメリカ工場の日系カーメーカ―向けの車種変更設備増強などに前年度実績285億円を大きく上回る330億円を計画している」と発表した。前期(2013年3月期)決算は売上高が下期後半から為替円安、震災復旧需要の増加で2637億2500万円、前期比4・6%の増収となったものの、営業利益は15年ビジョン達成のための基盤整備、中国市場での需要減に伴う収益悪化により92億400万円、前期比28・2%減の減益となった。単体決算は自動車部品需要が下期減少したほか、小型化などの車種構成の変化もあり、一般産業事業ではプリンター、産業資材の販売が減少、売上高は1616億5800万円、前期比4・3%減、営業利益は先行投資などの間接費の増加が収益を圧迫、赤字となった。
単体業績の一般産業用部門の売上高は398億円、前期比11・5%減となり、IT関連向けが225億円、同17・4%減、産業用ホース101億円、同0・4%減(高圧ホース83億円、同0・6%増、布巻ホース18億円、同4・7%減)、特品31億円、同11・5%減、住宅用制振19億円、同21・7%増、免震デバイス14億円、同20・6%減となった。
今期連結ベースでの業績予想については売上高は3600億円、前期比36・5%増の増収、営業利益も120億円、同30・4%増の増収増益を見込んでいる。売上高はM&Aによる増加700億円を見込んでいるほか、米国、タイ、中国市場での需要回復を見込み、営業利益についてはM&Aによる利益増に、既存事業分野でのプラスを見込んでいる。
2013年06月03日