帝人 新PC樹脂材料を開発

2013年06月18日

ゴムタイムス社

 帝人は13日、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなど、モバイル端末の筐体材料に適したポリカーボネート(PC)樹脂を開発したと発表した。同樹脂を筐体材料とすることで、端末の軽量化に加え、インモールド成形が可能となり、生産性向上も期待できる。
 インモールド成形とは、絵柄や着色など加飾したフィルムを金型に設置した後に、樹脂を射出することで、フィルムの絵柄を転写したり、フィルムと樹脂を一体化する成形方法。これにより、成形後の絵柄印刷や塗装、ハードコートなどが不要になる。
 モバイル端末の筐体を軽量化するためには、薄肉成形性と、高剛性の両立が必要となる。これらの条件を満たす材料として、カーボン繊維強化樹脂やマグネシウム合金などがあるが、これらは、筐体成形後に絵柄印刷、塗装などの後加工が必要になり、生産コストアップにつながるため、一部の高級機種にのみ採用されるに留まっていた。また、より汎用的な機種の筐体には、PC樹脂やナイロン樹脂を使った強化複合材料が使われることが一般的だが、インモールド成形時にシワや亀裂などの表面外観上の問題が起こり得ることや、薄肉難燃化が難しいこと、寸法安定性や塗装性に劣ることなどが課題となっていた。
 今回開発した樹脂は、特殊なガラス繊維と添加剤を使用することで、薄肉成形した筐体に要求される高剛性・寸法安定性などを満たしていることに加え、インモールド成形に最適な表面平滑性や従来のガラス繊維強化PC樹脂よりも40%高い流動性も有しているため、生産性向上も期待できる。また、独自の難燃化技術によって、射出成形材料としてトップクラスの高い難燃性を、従来は困難とされていた薄肉成形で実現している(0・6㎜厚、UL94 V-0相当)。
 同社はすでにモバイル端末の筐体材料としては、一部の顧客にサンプル出荷を開始しており、それぞれの顧客ニーズに応じた対応を進めると同時に、今後はモバイル端末だけでなく、医療機器やアミューズメント、自動車など幅広いインモールド成形品用途への展開を期待している。

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