田中次期新社長が会見 成長市場へのグローバル化推進
日本ゼオンの次期社長に就任予定の田中公章取締役専務執行役員は6月21日、記者会見し2013年度が最終年度となる中期経営3ヵ年計画「SZ―20」の進捗状況及び今後の事業経営方針を明らかにした。
6月27日開催の株主総会後に正式就任する田中取締役は社長就任に当たって「私どもの会社は絶えずイノベーションを目指していくことが重要。継続してイノベーションを生み出すことが必要であり、それが我々の使命だと考えている。古河社長は自ら変わる、会社が変わっていくということを絶えず言っておられたので、そういう考え方を私も踏襲して、厳しい環境変化に合わせて会社自身が変わっていかなければと思っている。私は研究開発部門出身の技術屋ですので、今ままでやってきた研究開発、高機能材料事業分野での知見を活かし、新しい分野でイノベーションを起こしていくことを強みにしていきたい」と抱負を述べた。
同社はSZ―20における事業戦略として、エラストマー素材事業(合成ゴム・合成ラテックス・化成品事業)と高機能材料事業(化学品・情報材料・高機能樹脂・高機能部材・医療器材事業)それぞれの強みを磨き、両輪でグローバルに事業を拡大させるとし、2020年度に連結売上高5000億円、海外生産高比率50%を目指している。
中期経営3ヵ年計画「SZ―20」の進捗状況については、「現在、3ヵ年計画でのエラストマー事業、高機能材料事業での市場の成長率、利益率、重点施策における計画との差異を明らかにしている段階であるが、その結果を踏まえ次期新3ヵ年中期経営計画を年度内にも策定する」と述べた。そのうえで2013年度の数値目標である連結売上高3200億円の達成については、「修正をせずそのままで進んでいるが、本年4月、5月の業績推移を見ていると比較的好転しており、今年度は中計の最終年度であり何とか売上げ、利益ともに計画を達成させたい」と述べた。
また、中計の柱でもあった2020年度海外生産高比率50%については「エラストマー事業ではシンガポールのソリューションSBRの新プラントが9月に稼働するほか、C5事業での海外生産拠点の確立もある。高機能材料事業では重点3事業部門(オプト、リチウムイオン電池)でのユーザーの海外生産移行に伴う海外加工拠点の新設もあり、14年から16年にかけて海外生産高比率は50%に近づいてくる。次期新3ヵ年計画では3年間で1000億円の設備投資を計画している」と述べた。
また、エラストマー事業の今後の課題としては「円安によるナフサ価格高騰、シェールガスの普及でC4、C5留分の入手が困難になるなど原料状況が大きく変化しており、将来どういう原料ソースを使うか。原料ソースの安定確保が必要」としており、高機能材料事業分野では「3事業部門での研究開発を早め、市場への投入を積極的に進めていきたい」と語った。
【田中公章氏の略歴】
5月の連休明け後に社長就任の内示を受けたという田中氏。「晴天の霹靂であったが、重要な仕事を任されるという高揚感もあり身の引き締まる思いを感じた」。学生時代はバスケットボール、山登りに明け暮れたが、現在はゴルフ、散策が趣味という。
昭和28年2月19日生まれ、54年東京工業大学総合理工学研究科修士課程修了、同年日本ゼオン㈱入社。