三菱樹脂は20日、同社の子会社である菱興プラスチックが不燃・防炎の認定を取得したガラスクロス複合塩化ビニールシートとアルミ製のフレームを組み合わせた防煙垂れ壁ユニット「RKP防煙パネル」を開発し、6月21日から本格販売を開始すると発表した。
防煙垂れ壁とは、火災が発生した際に煙や高温の有毒ガスの流動を遅らせて、避難を容易にするために、天井から50㎝以上垂らした隔壁のこと。スーパーやホテル、ホームセンター、映画館などの商業施設や、図書館、病院等の公共施設、工場事務所など、延べ床面積が500㎡を超える特殊建築物、排煙上有効な開9口部の面積の合計がその居室の床面積の50分の1未満の物などにおいて、建築基準法および消防法で設置することが義務付けられている。
これらの防煙垂れ壁には、不燃性が求められることから、主にガラス板が用いられている。しかし、2011年の東日本大震災において、ガラス板が天井から落下し、人的・物的被害が多発したことから、現在はガラス製ではなく樹脂製の採用が増えている。
そのような状況のなか、工場用間仕切りシートや土木用遮水シート、屋上防水シート等の樹脂シートを製造・販売する同社は、不燃性・防炎性に優れた樹脂シートの製造技術を活かし、「RKP防煙パネル」を開発した。樹脂製のため、ガラス板のような割れや飛散の恐れがなく、地震の際に天井から落下・破損した場合でも被害を最小限に抑えることができる。また一枚(標準サイズ:高さ500㎜×1500㎜)あたりの重量が約1・8kgとガラスに比べて約8分の1と軽量で、一人でも容易に取り付けることができることから、作業効率が向上し、施工時間の短縮と人件費等のコスト削減につながる。さらに、樹脂シートに帯電防止機能を付与し、ホコリが付着しにくい処理をしている。そのほか、これまで培ってきた同社独自のシート加工と組み立て方法により、パネル加工の際に、四方に均等にテンションをかけ、シワ発生を抑えて綺麗な外観を保つ。なお、樹脂シートは透明、半透明、白をラインナップし、設置場所に合わせて選択することができる。
大地震の際の被害を抑えられる樹脂製の防煙垂れ壁の需要は、今後もさらに高まると考えられる。同社は、不燃性・防煙性に優れ、軽量かつ安全な同パネルの拡販に努め、安全・安心な社会づくりに貢献していくとしている。