出光興産は24日、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(以下SPS、商品名:ザレック)の繊維分野での用途開発を開始すると発表した。
SPSは同社がメタロセン触媒技術を応用し、1985年に世界で初めて合成に成功した結晶性エンジニアリングプラスチック。現在、自動車電装部品や家電製品など、電気特性、耐熱性・耐加水分解性、耐薬品性等が求められる分野を中心に採用されている。
同社ではSPSの需要拡大の一環として、フィルムをはじめとする押出成形分野への展開を進めているが、繊維化への技術開発にも取り組むことに決定した。
昨年から信州大学繊維学部(大越研究室)と合成繊維として汎用性のある溶融紡糸によるマルチフィラメントの共同研究を行ってきた。同研究室の紡糸・延伸技術によりこれまで課題とされていた強度についても改良でき、また、複合紡糸による極細繊維化も可能となった。
今後は、繊維での用途開拓を加速するため、編織、紡績糸、不織布などへの加工を検討しSPSの特長である耐熱・耐薬品性が求められる工業用フィルター用途、低比重・低吸水性を生かした衣料用途、他材料と混合できるように短繊維化することで活用できる有機系充填剤などの複合材料用途を検討し、繊維メーカー、製品メーカーとの取り組みを図る予定。
2013年06月26日