東日本大震災で工場が被災するなどして大きく落ち込んでいた自動車各社の生産は、部品供給網が徐々に修復し、各社とも秋以降の増産に向けて大きく動き出している。 これまで本格生産のネックとなっていたのがサプライチェーン問題。 経済産業省化学課は21日、東日本大震災で化学産業が受けた影響や今後のあり方などを議論するため、6月7日に開催した「化学ビジョン研究会」の報告を緊急提言した。
この中で震災により生じた課題として①部素材のサプライチェーンの競争力強化②災害対応力の強化のための環境づくり③国内空洞化の懸念への対応④化学の技術革新を活用した復興による社会構造の変革ーの4項目を掲げている。 サプライチェーンの競争力強化では「特定の工場の停止の影響が想定し難いほどの広範囲に及ぶに至り、皮肉にも化学産業が果たしてきた役割の重要性が改めて 認識された。他方で、海外の最終製品において日本のサプライチェーンへの不安からアジア諸国等に部材調達拠点をシフトする動きも見られ、空洞化の危機は更 に高まった」とし、対策として①官民を挙げた選択と集中による圧倒的競争力獲得の道筋を明確化することと、②ユーザー企業との連携等による競争力の強化を 指摘した。 その上で、日本企業が強みを有する素材技術を見極め、競争資源を集約することで、官民を挙げて圧倒的な競争力の獲得を狙うことが重要であると提言。また、 サプライチェーンの川下に位置する製品メーカーとの連携や、又は同一製品に組み込まれる部材メーカー同士の連携により、サプライチェーン全体として競争力 を発揮するような取組も重要であるとしている。
2011年06月27日