積水化成品工業は16日、従来の発泡ポリスチレンシート(以下PSP)では大きな課題であった水蒸気透過性を大幅に低減させた、業界初の防湿性複合発泡シートの開発に成功したと発表した。この開発により、PSP市場の拡大が期待できる。
近年の容器・搬送トレーには安心・安全が求められており、特に食品の劣化防止や工業部品の錆び防止には、空気中の水蒸気が容器・搬送トレーの中に入りにくくする防湿性が必要とされる。
たとえばカップに入った食品では、かやくの吸湿防止のために、通常中袋が使用されているが、コストアップの要因になっている。また、キャベツ等のフリーズドライ食品が直接充填されている場合には、変色を防止できる期間が短い傾向があった。そこで同社では、上記の課題および市場ニーズに対応するために、PSPに防湿性樹脂を積層した複合発泡シートの開発を進めてきた。
同社の開発した同シートの特長としては、従来のPSPでは大きな課題であった水蒸気透過性を、約80%低減できること、深絞り熱成形性は従来のPSPと同等の性能を維持していること、耐油性・耐薬品性に優れていることなどが挙げられる。発泡体のため断熱性や緩衝性があり、また、印刷フィルムとのラミネート加工も可能となっている。
やきそば・ラーメン・うどん等カップ麺容器として利用すると、かやくの中袋を廃止でき、また、フリーズドライ食品が直接充填されている場合の吸湿による変色を抑制できる。他には、スープ・春雨・ラーメン等のタテ型カップ容器、防湿性・緩衝性を要求される工業部品搬送トレーなどの用途での展開を目指していく。
今後、同社ではPSPの耐熱性を向上させることにより、電子レンジにも対応する防湿容器を上市し、バリアフィルムとの積層により、バリア性能(酸素バリア性、保香性、容器外部からの臭い移り防止性)を付加した機能性容器の展開も行っていきたいとしている。
2013年07月18日