東レは17日、炭素繊維複合材料事業の自動車分野におけるグローバルな戦略的拡大を図るため、米国のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)製自動車部品製造販売会社Plasan Carbon Composites, Inc(プラサン・カーボン・コンポジット)、以下「PCC」)に資本参加することを決定し、このたび同社株式の20%を取得したと発表した。
PCCは2006年に設立され、同社が独自に開発した高速プレス成形技術をベースに、米国自動車メーカーの高級車向けにCFRP製外板部品(ボンネット、ルーフ等)を開発・納入する、米国内唯一のTier 1サプライヤー。同社の高速プレス成形には、同社の米国子会社Toray Carbon Fibers America, Inc.の炭素繊維を用いてToray Composites(America), Inc.が開発した速硬化性熱硬化樹脂プリプレグが使用されており、PCCに資本参加することで、米国自動車メーカーへの販売チャネルを確保するとともに、北米におけるCFRP製自動車部品の生産・開発拠点を確立し、炭素繊維から中間基材、成形品までの一貫した強固なサプライチェーンを構築する。
同社は、自動車用途における炭素繊維の市場創造に向けて、グローバルな事業拠点の拡充に取り組んでいる。日本・アジアでは、名古屋事業場にある自動車・航空機分野向け総合技術開発拠点「A&Aセンター(Automotive & Aircraft Center)」の中核施設「アドバンスドコンポジットセンター(ACC)」と「オートモーティブセンター(AMC)」を中心にCFRP製品の設計および成形加工技術・製品開発を行っている。加えて、今年4月には童夢グループから株式を取得して、東レ・カーボンマジック株式会社(所在地:滋賀県米原市、「TCM」)とCarbon Magic (Thailand) Co., Ltd.(所在地:タイ王国チョンブリ県、「CMTH」)を設立するなど、垂直統合型サプライチェーンを強化・拡充している。
また、自動車へのCFRP部品適用で先行する欧州では、2008年にCFRP部品の開発・製造会社ACE Advanced Composite Engineering GmbH(所在地:ドイツ・インメンシュタット市、「ACE」)に資本参加し、更に2011年にはDaimler AGとCFRP製自動車部品を製造販売する合弁会社Euro Advanced Carbon Fiber Composites GmbH(所在地:ドイツ・エスリンゲン市、「EACC」)を設立して市場・用途開拓を進めている。
今回のPCCへの資本参加により、世界の主要市場において自動車用途の炭素繊維から中間基材、成形品に至るサプライチェーンが整う。
同社は、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2013”において、「自動車・航空機」を成長領域として位置づけ、積極的な経営資源の投入により飛躍的な事業拡大を目指している。炭素繊維複合材料事業はその中核を担う事業であり、航空機に続く大型用途として期待される自動車分野でのCFRP適用拡大を実現していく。
〈Plasan Carbon Composites, Inc(PCC)概要〉
▽事業内容=炭素繊維複合材料製自動車部品の製造販売
▽所在地=米国ミシガン州
▽設立=2006年8月
▽代表者=James Staargaard社長
2013年07月18日