事業承継者が居ない場合でも、立派な事業承継が出来る-2
前回は、事業の一部を残し会社を存続させて事業承継を行うということをお話致しましたが、今回は会社を全て第三者に譲渡してしまう方法についてご説明したいと思います。
つまり、第三者によるM&Aです。
これは、具体的に言えば会社の株式を全て売却することです。
全ての株式を売却すると申しましたが、ある程度の株式を手元に残し新会社に関与する方法も勿論、残されております。その場合は30%以上の株式を保有することが重要になります。何故ならば、30%以上の株式を保持することにより、新会社の経営に参加することが出来ますし、自分の息のかかった取締役等を送り込むことも可能になります。当然ながら、配当も受け取ることも出来ます。
売買する株式の価格は、会社の資産(不動産、動産、特許、他)、人材、等を評価するとともに、現在の会社がこれから3年から5年位で上げられる利益を勘案して(デイスカウントキャッシュフローと呼ばれる)決定することになります。もし、不動産(土地等)が可成り以前に取得していたものであれば、現在価値が株価に相応の影響を与えます。
また、古くから使用しているいわゆる「暖簾」を新会社が使用したいということになれば、日本では暖簾代は資産計上しないという会計基準になっておりますので、その暖簾代は株価にまるまる影響をして来ます。
このようにして決定された株価は、会社設立時に社長一族等が決めた株価より高いのが通常です。差額は利益として株主個人に入りますので、個人の確定申告をすることになりますが、株式の譲渡益は一律20%しか税金が掛かりません。その上、他の上場株や未上場株を売却し損失が出たら損益通算をすることも出来ます。
このような場合は、現在保有している上場株式で損が出ていたら一度売却して、またすぐに買い戻せば、損益通算に損を使い、同じ株式を持ち続けることも出来ます。
もし、土地が個人の所有であり(この様な事は良くあることですが)、新会社が建物等をそのまま使うのであれば、当然、土地の賃貸借が個人と新会社の間で成立するために、保証金や毎月の地代は個人の不動産所得になり、新会社がその場所で営業を続ける限り、毎月の収入になります。
会社が他の場所に移転し更地が残された場合の土地の税法上有利な活用法については次回に詳しくお話を致します。
良いことばかりを書いたようですが、現在の会社が収益面ばかりではなく、顧客や技術(特許等)、人材等の面から見ても優れていなければこのような話は成り立ちません。
《LLP千代田コンサルティングファーム》
CPA・CFP・会社法務士 代表 山本眞
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