日本ゼオンの第1四半期連結決算は、売上高724億3700万円で前年同期比11・1%増、営業利益は86億8000万円、同31・7%増、経常利益は99億9900万、同74・3%増の増収増益となった。純利益は61億9000万円、同109・9%増。
同社グループでは、引き続き「ZΣ運動」による徹底したコスト削減に努めるとともに、エラストマー素材事業においては原料価格の変動に応じた販売価格改定、高機能材料事業においては付加価値の高い新製品の開発と事業拡大に取り組んだ結果、大幅な増益となった。
セグメント別では、エラストマー素材事業部門のうち、合成ゴムの販売は円安を背景にした拡販が奏功し数量を伸ばしたが、海外子会社において、海外市況の悪化等の影響を受けたため、全体では、売上高は前年同期を上回ったものの、営業利益は前年同期を下回った。
合成ラテックスは、樹脂改質向け等が堅調であったことから、売上高、営業利益ともに前年同期に比べ増加。
化成品関連では、円安を背景に海外市場では堅調に推移したが、国内市場での低調およびタイ子会社での需要低迷などにより、全体では、売上高は前年同期を上回ったものの、営業利益は前年同期を下回った。
以上の結果、エラストマー素材事業部門全体の売上高は455億4800万円で同1・3%増、営業利益は58億5900万円、同7・7%減となった。
高機能材料事業部門のうち、高機能樹脂関連では、医療用途・光学レンズ用途の販売が堅調に推移。高機能部材関連では、モバイル向け光学フィルムが好調であったことに加え、テレビ向け光学フィルムの販売も好調に推移し、数量および売上高を伸ばした。この結果、高機能樹脂及び部材全体では、売上高・営業利益ともに前年同期を上回った。
情報材料関連では、電池材料は好調だったが、電子材料やトナーなどの売上高が前年同期を下回ったため、全体では、売上高・営業利益ともに前年同期に比べ減少した。
化学品関連では、合成香料においては競合メーカーの生産調整があったこと、および特殊化学品においては拡販活動が進んだことにより、売上高・営業利益ともに前年同期を上回った。
これらの結果、高機能材料事業部門全体の売上高は154億8200万円で同37・1%増、営業利益は同25億3200万円増加し24億9600万円となった。
その他の事業部門では、商事部門の販売が減少したものの、塗料事業の子会社化などにより、売上高は121億1500万円で同27・8%増、営業利益は3億2000万円、同17・4%増となった。
通期業績予想は前回発表から変更はなく、売上高2900億円、同15・6%増、営業利益270億円、同13・9%増、経常利益270億円、同7・1%増、純利益170億円、同15・3%を見込んでいる。
決算発表を行った南忠幸取締役執行役員は、1日に完全子会社化が完了したトウペについて「アクリルゴムはゼオンとほぼ同じ事業なので、特に販売・研究面等の統合化を図っていく考え。塗料については赤字のセグメントなので立て直しが課題。現在、中を見ているところで、状況によって改革的なことが出てくる可能性がある」と述べた。
2013年08月07日