宇部興産の第1四半期連結決算は、売上高1534億4200万円、前年同期比1・4%増、営業利益12億7100万円、同79・1%減、経常利益5900万円、同99・0%減の大幅な減益となった。純損益は2億7100万円の損失。
同社グループは、今期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「Change&Challenge‐更なる成長に向けて‐」において、3つの基本方針「持続的成長を可能にする収益基盤の強化」「グローバルでのグループ力の最大化」「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を掲げ、構造的な事業環境の変化にもスピード感を持って対応すべく、各事業課題の解決に向けて取り組んできたが、その成果が出るには至らなかった。
〈化成品・樹脂〉
ナイロン原料のカプロラクタムは、中国での相次ぐ他社新設備稼働開始に伴う供給過剰により市況の低迷が続くとともに、タイ国工場における設備トラブルもあり出荷が減少。ポリブタジエン(合成ゴム)も、中国需要の低迷に加え、ナフサ市況が高止まりする中、原料であるブタジエン市況の大幅な下落により製品価格が低下したため、採算が悪化した。ナイロン樹脂、工業薬品は総じて堅調に推移した。
この結果、同セグメントの売上高は530億5600万円、同2・5%減、営業損益は29億5100万円の損失となった。
〈機能品・ファイン〉
リチウムイオン電池用の電池材料については、電解液の出荷は前年同期を上回り、セパレーターの出荷も堅調だったが、販売価格低下の影響を受けた。ファインケミカル製品や電子情報材料分野をはじめとするその他の機能性材料は、需要回復傾向にある製品が見られるものの、出荷は低調に推移した。
この結果、同セグメントの売上高は157億6600万円、同0・9%増、営業損益は2800万円の損失となった。
〈医薬〉
自社医薬品の抗血小板剤の原体販売数量は伸長したが、その他の自社医薬品原体と、受託医薬品の原体・中間体の販売数量は、いずれも前年同期を下回った。
この結果、同セグメントの売上高は18億円、同25・8%減、営業利益は2億8600万円、同62・2%減となった。
〈建築・資材〉
セメント・生コン及び建材製品は、復興需要が本格化するとともに公共投資が堅調に推移し、マンション・住宅着工も持ち直してきたことから、出荷が前年同期を上回り、輸出採算も改善。各種廃棄物の原燃料へのリサイクルも堅調だった。一方、カルシア・マグネシア製品の出荷は、鉄鋼、電子情報材料向け需要の低迷により低調だった。
この結果、同セグメントの売上高は525億3900万円、同3・9%増、営業利益は27億6400万円、同57・8%増となった。
〈機械・金属成形〉
竪型ミルや運搬機等の産業機械は、国内外メーカーとの価格競争の激化等により厳しい受注状況が続いており、出荷が前年同期を下回ったが、自動車産業向けを中心とする成形機は、新機種の市場への浸透が進み、新興国・北米向けを中心に出荷が好調。機械サービスは堅調に推移し、また、製鋼品の出荷は円高是正により競争力が改善し、前年同期を上回った。
この結果、同セグメントの売上高は181億6300万円、同18・5%増、営業利益は12億8900万円、同97・1%増となった。
〈エネルギー・環境〉
石炭事業は、販売炭の売上数量は堅調だったが、預り炭は主要顧客の電力会社で石炭火力発電所の定期検査が行われたことなどにより、コールセンター(石炭中継基地)での取扱い数量が前年同期を下回った。電力事業は、IPP発電所の定期検査に伴う補修費が増加し、また、稼働再開過程での不具合発生により、設備が停止していることから売電量も減少した。
この結果、同セグメントの売上高は129億4400万円、同21・4%減、営業損益は9100万円の損失となった。
〈その他〉
その他の売上高は74億5300万円、同17・8%増、営業利益は2億600万円、同20・2%減となった。
通期業績予想については、前回発表から変更はなく、売上高6750億円、前期比7・8%増、営業利益340億円、同13・5%増、経常利益285億円、同1・6%増、純利益145億円、同75・4%増を見込んでいる。
2013年08月08日