NEDO バイオエタノール実証運転

2013年08月22日

ゴムタイムス社

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は21日、インドネシアの東ジャワ州の製糖工場に設置したバイオエタノールの製造プラントが完成し、実証運転を開始したと発表した。
 このプロジェクトは、インドネシア工業省との共同プロジェクトで、製糖工場の副産物であるモラセス(廃糖蜜)から、燃料用バイオエタノールを製造する技術の実証を行うもの。PTPN―X社の製糖工場に設置され、この工場や近隣の製糖工場から排出される年間約15万トンの廃糖蜜の約70%を原料に、年間3万klの生産を計画している。日本の優れた技術がインドネシアで普及し、同国の化石燃料消費量の低減と砂糖産業の安定化に貢献する事が期待される。
 同国では、石油輸入が輸出を上回る状況が続き、政府が2025年までにエネルギー消費量の5%をバイオ燃料で賄う方針を打ち出しているが、目標達成は容易ではない。また、バイオ燃料のうちガソリン代替として使われるエタノールは主にモラセス、砂糖、とうもろこし等から作られるが、同国内の砂糖の需要はその40%近くを輸入で賄っていることから、砂糖の増産に取り組んでいる。6月に政府補助金の削減によりガソリン価格が40%以上値上げされたことで、バイオエタノール導入にとって課題であった価格競争力が大きく改善した。また、砂糖の増産により原料となるモラセスの産出量も増え、量・価格両面において入手しやすくなる事が期待され、これまで普及が進んでいなかった、バイオエタノールを導入する機運が盛り上がっている。
 運転のしやすさと効率の両立を目指し、日本で開発された凝集性酵母を用いた繰返し回分発酵法を採用。製造するバイオエタノールはガソリンと混合し自動車用燃料として利用される予定。
 今回導入される技術の普及により、インドネシアの石油輸入量の低減、砂糖産業の経営の多角化・安定化、日本企業によるバイオエタノール製造設備等の輸出機会の創出、の効果が期待される。
 工事の完了に伴い20日、現地東ジャワ州のPTPN―X社Gempolkerep製糖工場にて竣工式を開催。日本側はNEDO倉田副理事長、在インドネシア日本国大使館牛尾公使、委託先である月島機械とサッポロエンジニアリングの役員、インドネシア側はダーラン国営企業大臣、工業省パンガー総局長などが出席した。
 今後試運転と実証運転を通じて、運転データの評価、検証を行いつつ運転員の教育を実施し、運転技術の移転と定着を図る。また、プラント公開や普及セミナーを通じてインドネシアの砂糖産業へのバイオエタノールプラントの普及を目指す方針。

〈事業概要〉
▽事業名(事業期間)=「製糖工場におけるモラセスエタノール製造技術実証事業(インドネシア)」(2010年~2013年)
▽総事業費=約23億円(うちNEDO負担分:約15億円)
▽設備導入場所=インドネシア共和国東ジャワ州PTPN―X社Gempolkerep製糖工場内
▽設備容量=燃料用バイオエタノール年産3万kl
▽日本側委託先=月島機械㈱、サッポロエンジニアリング㈱

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