独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は3日、NEDOのプロジェクトにおいて、東京大学、東レ、三菱レイヨン、東洋紡、タカギセイコー等のグループが、加熱すると成形しやすくなる熱可塑性樹脂を用いた、まったく新しい「炭素繊維強化熱可塑性プラスチックス(CFRTP)」の開発に成功したと発表した。
炭素繊維は、世界の生産量の7割以上を日系企業が独占しているが、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂と一体化した炭素繊維強化熱硬化性プラスチックス(CFRP)は①設計が難しい②金属のような均質材料ではない③成形加工時間が長い④高価―などの課題を抱えている。
今回開発したCFRTPは、易加工性CFRTP中間基材、易加工性CFRTP成形技術、易加工性CFRTP接合技術、易加工性CFRTPリサイクル技術。
CFRTPは、熱硬化性樹脂の代わりに、熱可塑性樹脂を用いることで、従来のCFRPでは困難だった高速成形加工や高汎用性を有する接合を行えるため、量産車に用途が広がり、車体の軽量化(現行比30%程度)やエネルギー消費低減などの効果が期待できる。また、再成形ができるためリサイクルが可能となり、循環型社会の実現に大きく寄与することも期待できる。
同プロジェクトは、日本複合材料学会、先端材料技術協会から多数の表彰を受け、JECからは、昨年「技術革新賞(自動車部門)」を受賞し、国内外から高く評価されている。
今回開発した材料および加工方法は、部材毎の要求性能に合った個別の最適化が必要とされていることから、材料や成形についてのデータベースの構築・充実化を図りつつ、信頼性の向上や安全性を考慮した構造設計、評価方法の確立等を目指していく。
2013年09月05日