東洋ゴム工業の信木明社長は8月30日開催のメディア懇談会席上、2020年のありたい姿を示す「長期経営ビジョン20」に触れ、タイヤ事業では2TOPブランド戦略による市場存在感の確立、ダイバーテック事業では戦略事業のグローバルサプライチェーンの確立を図ることで「売上高6000億円、営業利益率10%を目指して取り組みを進める」と述べた。
この中で信木社長は「中計11のターニングポイントである中間期は順調に推移し、2013年12月期通期の業績予想については売上高が3700億円、営業利益が290億円と大幅に上方修正した。2020年にかけて売上高6000億円、営業利益率10%を計画しており、これに向かって更に経営の強化を図っていく」と述べた。
また、財務体質では「創業以来、格付機関から常にトリプルBの領域をなかなか越えられなかったが、過去数年にわたる構造改革、マーケットへの対応、商品の戦闘力などが評価され、今般、各格付機関からシングルAの評価をいただいた。自己資本比率も29%から32%と3ポイント改善された」ことを強調。
タイヤ事業におけるグローバル市場環境については、中国はじめ新興国は景気の減速感があり、 アメリカを除く各市場がシュリンクしている中で、アメリカだけが堅調に推移すると認識しているとし、「我々が得意とするSUV、ライトトラックはNITTO、トーヨーブランドとともに好調に推移しており、アメリカにおけるSUV、ライトトラック用タイヤのシェアは5%だが、現在、建設を進めている第4期拡張工事が本格稼働となる2016年には7~8%ぐらいまでに拡大していきたい」と北米市場で更なる事業拡大を図っていく。
また、海外事業ではタイの販売会社を通じ、アジア向けの販売、拡販、チャネル造りを行い、有力市場であるタイのビジネス機会の拡大を図っていく方針。マレーシアでもブランド訴求のため企業メッセージを発信。低燃費タイヤではグローバルブランドの「ナノエナジー」を、マレーシア工場から欧州向けに今年暮れに出荷する計画。「ナノエナジー3」については、今現在、当初計画の1・6倍の販売を達成しているという。
一方、ダイバーテック事業では免震技術の市場展開に注力していく方針を明らかにした。92年に初導入以来、累積で4800基を超える納入実績を誇っており、ゴム材料への知見の蓄積と配合技術により高品質の装置を実現している。兵庫の明石工場で巨大な試験設備を有し、全数点検の徹底に努めていく方針。
2013年09月07日