東レ ナノ多層積層フィルムの売上高が10倍に

2013年09月11日

ゴムタイムス社

 東レは9日、同社が展開するナノ多層積層フィルム「PICASUS(ピカサス)」の売上高が、2013年度には2009年度比で10倍の規模に達する見通しになったと発表した。2016年度には2013年度比で5倍の規模へと拡大を目指す。
 同製品は、種類の異なるポリマーを数百から一千層、数ナノメートルの薄さで多層積層した金属光沢調のフィルム。
 独自のナノ積層技術とポリマー設計技術の融合により開発した同製品は、塗装やメッキを使わずに金属のような光沢を持った外観を表現できることから、重金属フリーの環境低負荷型フィルムとして、2008年に上市して以来、環境配慮型社会における新たなニーズに対応してきた。
 また、無線通信の電磁波を良く透過することや、積層技術によって金属光沢を持たせながら可視光をある程度透過するグレードも設計可能であり、かつ、優れた成形性や耐熱性、耐薬品性、印刷性といった様々な特長を持ち、ガラスや樹脂とのラミネート加工、各種樹脂との一体成形加工も可能であるため、適用分野や用途、ユーザーはますます拡大している。
 具体的には、優れた電磁波透過性、光透過性、易成形性を活かして、情報家電用途では、静電容量型タッチパネルや非接触充電器への外装・表面への適用が可能であり、鏡面に電光表示が浮き出るようなデザインが実現できる。また、車載用途では衝突回避システム等に搭載されるミリ波レーダーの表面部分への適用、および次世代HUD(Head Up Display=ヘッドアップディスプレイ)の表示部への適用が可能であり、LEDとの組み合わせにより金属調部品を夜間に光らせるなどのデザインが実現できる。
 同社は、「有機合成化学」、「高分子化学」、「バイオテクノロジー」そして「ナノテクノロジー」を、すべての事業の基盤となる「コア技術」と位置づけており、同商品もそれらのコア技術を駆使した先端材料の一つ。
 同社は今後も、独自のナノ積層技術のさらなる深化により、「PICASUS」を情報化社会、環境配慮型社会の発展へ貢献する商品として販売拡大していくとしている。

「PICASUS」の詳細は以下の通り。
1.「PICASUS」とは
 異種ポリマーを数百から数千層、数ナノメートルの薄さで多層積層するナノ積層技術とポリマー設計技術を融合して開発したナノ多層積層ポリエステルフィルム。独自の光学設計技術によって各層の厚みを最適化し、光を高輝度に反射させることで金属調の光沢と質感を発現する。

2.「PICASUS」の特徴
 (1)金属フリーでありメッキ、塗装からの代替が可能となり、環境低負荷に貢献する。
 (2)無線通信の電磁波を透過するため、ユビキタス社会の加飾方式として優れている。
 (3)金属の錆が問題となる用途で、金属調の加飾が可能になる。
 (4)成形性に優れ、樹脂との一体成形もできることから、工程の簡略化が可能。
 (5)耐熱性、耐薬品性、印刷性に優れる。

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