全国ゴム商組連合会の会議が12日、浜松町東京會館(東京)で開かれた。東部ゴム商組が幹事組合となり、藤田耕平副理事長が司会を務め、会議を進行。アンケートによる各地区会員企業数の変化などの報告後、各地区の活動状況や市況交換をテーマに意見交換を行った。報告された各地区商組の現状の概略を紹介する。
〈東北ゴム商組・秋保幸男理事長〉
ビッグバンを再現する超大型加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の建設地が北上に決まった。今のところ八千何百億円がかかるのではないかとみられている。まだ時間がかかるようだが、東北ではこのILCが誘致決まるというのは大きな話題なので、うまくいけばと思う。
TPPの交渉が行われており、東北でも農業の6次産業化を実施するところが出てきた。そこを視察するとともに、もう一度TPPを掘り下げ、連携していこうと考えている。
大切な税金を、今も東北で使わせてもらっているし、いろいろな人に応援してもらっているので、この場を借りて感謝を申し上げたい。
〈中部ゴム商組・川島健一理事長〉
組合員と賛助会員の数を合わせると、133社を維持した。今年度の事業のうち、特に力を入れているのが研修部会の研修事業で、新入社員・新人営業社員を対象にした階層別研修、パソコン研修、経営者・管理者を対象にした研修を中部ゴム工業会と、安全衛生特別教育として技能研修を中部ベルトエンドレス工業会と連携して実施した。視察事業にも力を入れており、今年はタイのバンコクで見本市などを視察する。
中部地域は自動車が大きなウエートを占めており、為替変動の影響を受けやすい。前半の状況は、アベノミクス以後、円高が修正されたため、海外生産を含む生産高や業績が改善されているが、自動車はエコカー補助金打ち切りの影響で、生産高が10%程度減少している。それに伴い工作機械は20%強減少。設備投資は先送り状態で低調に推移している。
業界動向としては、伝動・搬送ベルトは減少しているものの、高圧ホースは建機の排ガス規制により国内は増加し、一部品薄状態に。樹脂ホースでは、電線管が太陽光発電など発電関連が好調で増加している。
後半はオリンピックが決まり、消費税増税前の駆け込み需要が見込まれるので、消費が伸びることを期待している。
自動車など海外進出の動きが止まらない中で、海外に一緒についていけない中小企業は、内需で生きていくしかない。エネルギーや省エネ、老齢化、健康新素材などに伴う市場に着目して活動していくことが、われわれの課題だと考えている。
〈西部ゴム商組・岡浩史副理事長〉
活動のうち特筆すべきものとしては、組合員・賛助会員ともに増加したことと海外視察、次世代経営者の会。
海外視察は、これまで以上に有益なものとなった。昨年12月のインドネシアでは最大財閥の企業を訪問し、1社が見積もりを依頼され商談中。7月のドイツでは、パーティーに参加していたインテリアデザイナーが来日し、訪問企業とビジネスの話になった。今後もこうした意義ある視察を続けていきたい。
次世代経営者の会では、11月に中国・上海を視察するツアーを独自で計画しており、いい方向に向かっていると考えている。若手が組合になじめるようになることを期待している。
景気については、関西の回復は東京や名古屋に比べて数カ月遅れている様子。弱電中心なので、弱電部門が下がったため、平均値が低下した。ただ、弱電でも太陽パネルとハイブリッド電池だけは好調に推移している。全体的には、現状よりは来年に向けて少しは良くなってくる見込み。
〈四国ゴム商組・秦幸助副理事長〉
四国は2%経済と言われる地域で、会員数も12社とこじんまりとしている。最盛期に比べれば3分の1に減ったが、この12社については世代交代が比較的うまくいっている。
景況についてはばらつきがある。一部上場企業やそれに匹敵する企業はいいが、中小企業についてはまだというのが実態。
ベルト、ホースに関しては、石炭火力発電所向けや大企業向けはいいものの、総体的にはあまり良くないという状況。
マイナス要因としては、資材や人件費の高騰を製品価格に転嫁できないということが、下期から来年にかけての課題となっている。
〈西日本ゴム商組・永尾元彦副理事長〉
7県8地区で支部活動をしているが、各支部で仕事の内容が違うため、大きく3ブロックに分け、支部活動の活性化を図っていくことにした。
九州は全国の10%しか市場がなく、今までの経験から言えば、東部・中部西部の景気が良くなった後、半年ほどずれて少しずつ良い方向に推移していく。したがって、これから良くなっていくと考えている。
〈東部ゴム商組・藤田耕平副理事長〉
組合員の数は減る傾向にあるものの、各事業への出席者数は増加傾向にあり、特に今年6月の接着剤の勉強会には、130名の定員に対し200名近い応募があった。今後も少なくとも年1回は勉強会を実施していきたい。
また各企業で女性の力が重要になっているため、女性のためのセミナーということで、今年度は「整理収納で力を伸ばそう!~会社から必要といわせる人間力を伸ばす方法~」というテーマでセミナーを開催する。
当組合が実施した景況観測調査によると、常に高いところを維持しているのが仕入れ価格で、販売価格は水面下にあり、それに伴い粗利も水面下にある。売上げは今後、水面上に上がってくるとの希望的観測を持っている。仕入れ価格の上昇に伴って販売価格を上げられないという、厳しい状況がこの調査から見て取れる。
ベルトについては、伝動ベルトでVベルトの落ち込みが激しく、前年比10%前後の落ち込み。国内タイミングベルトは落ち込みが激しい。搬送ベルトについては、各社とも樹脂ベルトが好調。
ゴムホースは、港湾・空港整備・地盤改良向けなどが好調。前年比30%増の部会員会社もある。ゼネコンの受注も好調で、3月末まで土木は良い見込み。
高圧ホースは、建機・工作機械の不調が響き落ち込んでいる。小型ショベル向けなどスポット物件が一部あるが全体的には不調。特殊車両は消費税値上げ前の需要や住宅着工好調に伴う需要などがあり好調。
樹脂ホースは、一部仕入れ先から値上げのアナウンスはあった。サクションホースは不調である。
工業用品のゴム板は、昨年は東日本大震災復興需要と自動車の生産台数の増加で、生産が順調に推移したが、今年に入り復興需要が一段落し、エコカー補助金が終了し厳しい状況が続いている。国内で新しい需要を掘り起こそうという動きをしている会社も数社あり、新製品の開発がカギになるのではないか。
型物成形については、日本経済とゴム産業界の牽引役である自動車の生産が、円安を背景に改善。ワイパーのような、取り換えもののパーツを製造している会社は堅調に推移している。電子通信半導体は、スマホへの買い替えで好調に推移。それに伴い、半導体製造装置メーカーも回復に向かっている。
産業工作機械も自動車が好調に推移しているので、国内向けも回復に向かうという見方が広がっている。造船関連も円安の影響で受注が相次いでいる。