安藤ハザマは17日、短期間かつ低コストで容易に設置が可能な放射線遮へい容器「L-box」を川上産業、ユニチカと共同開発したと発表した。
現在実施されている除染作業により、セシウムなどの放射性物質が付着した土壌や草木などの放射性廃棄物が発生する。この廃棄物は自治体が設置する仮置場などで保管されるが、仮置きに当たっては放射線量の影響を考慮した遮へいなどの措置が実施されている。放射性セシウムから放出される放射線であるガンマ線は通常の土やコンクリートでも遮へいすることが可能で、厚さ30cmの覆土により放射線線量当量率を約1/40に、15cmのコンクリート壁で約1/10に減衰する。
今回開発した「L-box」は、この土の持つ遮へい性能を活用し、放射性廃棄物を安全に保管する容器。
同製品は、川上産業の樹脂製軽量合成板プラパールとユニチカの放射線遮へい防水シートを使用したL字型の箱で、放射性廃棄物を入れたフレコンバッグや大型土のうなどを囲む。確認実験では囲んだ箱の中に土砂を入れることで、放射性廃棄物からの線量率(1μSv/h前後)を、その敷地内における空間線量率(0・3μSv/h前後)までに低減させることが確認できた。
通常の放射線の遮へいでは地下に埋設する、もしくはコンクリート製の容器に入れるなどの方法があるが、同製品はこれらと同等の遮へい性能を持っている。また、軽量という樹脂の特性を活かすことで運搬や設置も容易であることから低コストであり、より多くの場面での積極的な活用が期待できる。仮置場への運搬前における放射性廃棄物の一時的な保管などにも有用。
同社は、今後同製品を積極的に展開し、除染作業を行う地域の再生のサポートをしていくとしている。なお、同製品は25日から27日までの期間、東京都千代田区の科学技術館にて開催予定の、「環境放射能除染・廃棄物処理国際展『RADIEX2013』」にも出展予定。
2013年09月19日