東レ・ダウコーニングは24日、韓国の特許審判院(IPT)が、約3年間に渡り係争を続けてきたダウコーニングの特許10―976075に関し、無効審判の請求を棄却する判断を下したと発表した。
この特許は、LEDデバイスに高付加価値を提供する同社独自の高屈折率 フェニル系光学シリコーン技術に関するもので、ダウコーニングの豊富な知的財産ポートフォリオの1つ。同技術は、光出力の向上、卓越したLED部品の機械的保護性能、そして信頼性向上に向けた長期的なガスバリア特性を実現するもの。8月9日にIPTが下した判断は同社にとって非常に有利なものであり、これは韓国国内に止まらず、主要なグローバルLEDメーカーがある米国、日本、台湾、中国、マレーシアやヨーロッパといった多くの地域において、本技術における知的財産のポジションを大幅に強化するもの。
同社のバイスプレジデント兼最高技術責任者であるグレッグ・ザンク氏は、「ダウコーニングはIPTの決定を嬉しく思います。当社はグローバルでイノベーティブな企業として、またお客様のパートナーそして高屈折率光学用シリコーンのリーダーとして、イノベーティブかつ高性能なLED用シリコーン材料の開発はもちろんのこと、急速に成長する今日のLED市場において、私たちの製品、品質や信頼性における競争優位性の確保に欠かせない知的財産の保護に取り組んでいきます」とコメントしている。
同社では、10年以上前に日本でフェニル系のシリコーン封止材を開発し、日本をはじめとする国々で特許保護を申請。その後、本材料の高屈折率はLED用シリコーン材料の標準となっている。同技術に対する特許は、日本、韓国、米国、EU、台湾、マレーシアや中国といった複数の国で認められており、韓国の特許10―976075は2010年に承認された。
同社はシリコーンおよびシリコンをベースとしたイノベーティブな技術や製品を提供し、社会のサステナビリティに貢献するダウコーニングでは、一般照明市場でLEDがシェアを拡大するのに伴い、フェニル系シリコーンをはじめとする高屈折率な光学用シリコーン材料の採用がLED市場を成長に導く推進力になると予測している。
同社エレクトロニクスソリューションズのバイスプレジデントであるエリック・ピーターズ氏は、「高屈折率技術は既に技術検討の段階を過ぎ、世界のLEDメーカーに戦略的な市場優位性をもたらすものといえます。我々が特許を取得した高屈折率材料は競合するメチル系シリコーンの1・41よりも高い1・54の屈折率があります。一見すると小さな差ですが、この違いによって光出力を7%向上させることができます。もしLEDチップの設計変更によって同等の性能を達成しようとした場合には、多額の投資が必要となります」と述べている。
同社の高屈折率フェニル系シリコーン封止材の幅広い製品群は、チップオンボード型LEDパッケージをはじめとする多くのミドルおよびハイパワーの一般照明用途に適した光および熱安定性を提供。一般的にフェニル系シリコーン封止材は、メチル系のシリコーン封止材と比べ優れたガスバリア特性を発揮するため、銀電極や蛍光体などの主要なLED部品を水分劣化や硫黄腐食から保護します。LED電極は反射層としての機能を兼ねており、また蛍光体は光変換における重要部品である。こうした点から、ガスバリア特性の強化はLED出力における性能と信頼性の維持に大きく貢献する。
過去10年以上に渡ってフェニル系シリコーンによる高い効率性と信頼性は、高性能LED向け光学封止材における同社のマーケットリーダーおよび技術リーダーとしてのポジションの確立に寄与してきた。実質的に同社が提供するすべての光学封止材は今回支持された特許および関連の知的財産ポートフォリオに該当するものであり、この度の決定により、国際特許によって保護された高屈折率 フェニル系シリコーン封止材を日本をはじめ、世界のLEDメーカーに提供し、高品質・信頼性のあるLEDの設計に貢献していくとしている。
2013年09月24日