エボニックグループのDSL.ジャパン(金井産社長)は24日、設立10周年記者懇談会を開催した。
同社はエボニック ジャパン㈱と塩野義製薬㈱の合弁会社として2003年10月に発足。1958年より半世紀以上もの間、珪酸ナトリウムと硫酸とを反応させて生じるシリカの沈殿をろ過、水洗、乾燥、粉砕する湿式法と呼ばれる製法で、湿式シリカ(SiO2)を製造している。
当日は金井社長が同社の歴史や概要を説明した後、同社の主力製品である「CARPLEX(カープレックス)」を解説した。
エボニックグループの湿式シリカの使用用途は、タイヤが中心だが、DSL.ジャパンではそれ以外の分野、ビール用ろ過助剤をはじめ、農薬、医薬品、食品添加剤、バッテリーセパレーター等に特化している。
設立10周年を迎えて、金井社長は「設立当初は稼動率が半分程度という状態で大変苦労したが、直近ではフル稼働になるまで成長できた」と述べ、「今後の10年では、世界各地に生産・販売拠点があるエボニックグループの強みを活かし、ユニークな製品を発信していく。また海外向けの輸出をより積極的に展開し、海外向け輸出を現在の約10%から約30%まで高めていく」と今後の抱負を語った。
同社では原材料価格およびエネルギーコスト(天然ガス・電力)の上昇を受け、10月16日出荷分から湿式シリカ「カープレックス」の販売価格を6%の値上げすると発表している。 今後はエネルギーコスト対策を強化していく方針。
事業展開について、金井社長は「輸出の面でビール用ろ過助剤を注力していく。特に中国は需要も伸びていくと思われ、ビール用ろ過助剤を大きな柱とし、医薬品・食品添加剤の分野も強化していく。また新しい用途開発も促進する。国内マーケットシェアはまだまだ需要が伸びていくと見込んでおり、、海外向けは今以上に見込める」と述べた。