十人十色の事業承継 第10回

2013年10月06日

ゴムタイムス社

 事業承継の事例 

 オリンピックの開催も無事東京に決まり、建設会社や設備会社等々のオリンピック関連株が今上昇しています。
 これを機会に日本経済が活気づく方向に向かえば良いと私も思いますし、皆様もお思いだと推察致します。
 私が思うに、建設や設備等々のオリンピック関連の建物等には必ずどの様な形かは別として、ゴムは広く使用されるのではないでしょうか。今こそゴム協会としてはビジネスチャンスの到来のような気が致します。
 今回は、土地に対して事業承継を成功させた、私の経験をお話ししたいと思います。
 その会社はかなり古くから事業を行っており、全盛期には資本の部が預貯金額と同じであるという、私でも滅多に関係したことのない超優良会社でありました。
 しかし、年月を重ねる内に段々現代に合わない商品になっていき、同業種の会社は、どんどん潰れていきました。
 そこで、経営者は新たな売り方、新たな商品の開発を積極的に試みる事を決断したのです。
 しかし、そう簡単に、また早急に事業方法の改革は出来ませんし、その経営者の年齢を考えても、自分の時代に立ち直れるか否かのぎりぎりの所でした。
 社長が改革をしようとしている事業体にもっていくには時間が掛かるため、また事業承継も行わなければならないため、どの様にしたら良いかを私に相談に来たのであります。
 私は、その社長の考えている事業改革の間をどの様に過ごすか、また事業承継も絡めてどの様にするかを、税法・民法等の法律に加え全ての可能性を総動員して作りあげました。
 まず、土地が全て経営者一族の所有であり、会社がその上にビルを建てて営業をしておりましたので、以前にもお話をしましたが何十年もその土地の上に会社が存在していたので自然発生借地権が税法上も民法上も発生していると判断し、借地権と底地権の等価交換を致しました。
 当然、会社の持分の所有権と経営者一族の土地に分かれたわけです。
 そこで、経営者一族に新たな会社を作ってもらい、従前の会社と合同で敷地一杯にビルを建設致しました。
 その建物の持分はそれぞれの土地の持分で持つ事になります。
 従前の建物は4階建てでしたし、広さも少なかったため、新しい建物は8階建てにしてフロアースペースを広くして、そして余裕が出た分を賃貸に回しました。
 そこで、その賃貸料で新しい事業方法が出来上がるまでの資金的時間を稼いだわけであります。
 この方法により時間を得たこの会社は、安心して事業改革を行い現在ではその技術改革のおかげで順調に事業を続けております。
 この方法は会社の存続だけでなく、副産物とも言える事業承継も平行して進める事が出来ました。
 その件に関しては次回にお話をしようと思います。

《LLP千代田コンサルティングファーム》
 CPA・CFP・会社法務士 代表 山本眞 
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