量産体制整い11月末に稼働 アクリル、水添NBRの能増完了 特殊ゴム販売は堅調推移
日本ゼオンはシンガポールのジュロン島内に建設中の溶液重合法スチレンブタジエンゴム(S―SBR)製造プラントの量産体制がこのほど整い、9月からサンプル提供を開始したことを明らかにした。新プラント(年産3~4万トン・第1期)の本格生産は2013年11月末から開始される。同プラントはゼオン・ケミカルズ・シンガポール社が建設を進めていたもので、工場敷地内へ繋ぎ込む蒸気等のパイプラインが公共道路を横断する際に通るトンネルの拡張工事が想定よりも難航したことから、稼動開始時期が当初予定の7月から遅れて9月となったもの。今後ゼオン・ケミカルズ・シンガポール社は、各サプライヤーおよびジュロン土地公社(JTC)と緊密に協力しながら全体計画の遅れを極力回避すべく対応し、一日も早い商業運転開始を目指す方針。
同社エラストマー素材事業の足元の合成ゴム販売は円安を背景にした拡販が奏功し数量を伸ばしたが、海外子会社における海外市況の悪化等の影響を受け、全体では売上高は前年同期を上回ったものの、営業利益は前年同期を下回った。
中国の需要減少により合成ゴム市況が軟化していたが、ここへきてのブタジエン価格の反発で売値も上がってきており、海外マーケットも需要が戻りつつあるという。国内は自動車各社の生産計画も若干下期は強含みであり、全体の販売数量は海外マーケットの回復で上期よりは上振れするとみている。