ランクセス ブチルで新技術「BiT」開発

2013年10月07日

ゴムタイムス社

タイヤトレッドにブレンド ウエットグリップ性が向上

 ランクセスは、このほど高性能タイヤの安全性が向上する新技術「BiT(Butyl in Treads)」を開発、9月27日に東京で開催されたブチルゴムの技術セミナーにおいてこの新技術を日本で初めて紹介した。この新技術では、ブロモブチルゴムを高性能タイヤのトレッドに使用することで、ウェットグリップ性能を向上し、従来よりも大幅に制動距離を短縮することができるという。ブロモブチルは従来、タイヤの空気圧を維持する目的でタイヤのインナーライナーにのみ使用されていた高性能ゴム。
 ブチルゴムの特性は、卓越した不透過性だけでなく、幅広い温度範囲における高い減衰性にあり、ブチルゴムは微細構造のため、非常に高密度な分子集団となっている。それが、気体と液体の拡散速度の低下をもたらし、分子の動きが制限され、その結果、ブチルゴムに独特の減衰特性を与えることになる。
 ランクセスではかねてより、高い減衰特性を備えたブチルゴムを最先端のタイヤトレッドの配合に組み込む開発に取り組んできたが、タイヤの製造とテストプログラムを実施することで、この開発をさらに具体化することができた。
 このプログラムにおいて、同技術を取り入れて製造した全天候型タイヤの試作品では、湿潤路面のグリップ性能が向上し、制動距離は8%短縮、ラップタイムは3%短縮され、乾燥路面でも、湿潤路面ほどではなかったが、その差は明らかなものとなった。転がり抵抗と耐摩耗性は、コントロールタイヤとほぼ同等の結果という。ランクセスの新技術「BiT」を使用することで、タイヤメーカーは総合的なタイヤ性能を向上するだけでなく、その安全性も向上することが可能となった。技術説明に当たったブチルラバー事業部 グローバル・テクニカル・マーケティング ディレクターのルック・タルボット氏によると、すでに世界のタイヤトップ10、日本国内メーカー数社にサンプル出荷、供給開始の準備を進めており、「トレッドへの使用量にもよるが年間5000トンから5万トンの販売が見込める」としている。
 ブチルゴムの世界市場規模は年間約100万トン。ランクセスはカナダ、ベルギー、シンガポールの3拠点で年産40万トンの生産能力を有する。
 同社のブチルゴムはレギュラーブチルゴム、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴムの3製品。ブロモブチル、クロロブチルゴムを合わせた総称がハロブチルゴム。

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