帝人は4日、帝人と韓国の化学メーカーSKケミカル社は、スーパーエンプラの1つであるPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂とそのコンパウンド(複合材料)の製造・販売を行う合弁会社「INITZ Co.,Ltd」(以下、イニッツ社)を韓国・ウルサン市に設立し、10月1日にPPS樹脂の量産工場建設に着工したと発表した。また、同日、ウルサン市長やウルサン市議会議長らを招き、起工式を行なった。
生産能力は年産1・2万トン。資本金は50億ウォン、出資比率はSKケミカルが66%、帝人が34%。
PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、強度などに優れる樹脂材料で、主に自動車やエレクトロニクス市場において広く使用されており、電気自動車やハイブリッドカーの普及、新興国におけるエレクトロニクス市場の拡大などに伴い、需要拡大が見込まれている。一方、従来のPPS樹脂には、樹脂中に含まれる塩素やナトリウムが腐食や接触不良、環境への悪影響を招く懸念があったが、このたび着工した工場では、SKケミカル社が開発したプロセスにより、世界で初めて、塩素やナトリウムを含まないPPS樹脂の量産が可能となったとのこと。
イニッツ社は、今後、同社およびSKケミカル社と共に、自動車やエレクトロニクス市場に向けたサンプルワークを開始する。成長著しいアジア市場に焦点を当てたグローバル展開を図ることにより、2020年度までに約3000億ウォンの売上達成、20%のシェア獲得を目指すとしている。
〈新会社概要〉
▽社名:INITZ Co.,Ltd
▽所在地:韓国・ウルサン市
▽代表者:CEO金孝卿(キム・ヒョキョン)
▽資本金:50億ウォン(出資比率:SKケミカル66%、帝人34%)
▽設立時期:2013年9月1日
▽事業内容:PPS樹脂およびそのコンパウンドの開発・生産・販売
▽生産能力:年産1・2万トン