東レ 韓国でPPS樹脂工場を新設

2013年10月10日

ゴムタイムス社

 東レは7日、韓国の子会社において、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂トレリナを生産する新工場を設立することを決定したと発表した。
 新工場を設立するのは同社100%子会社である「東レ尖端素材」(英文名=Toray Advanced Materials Korea Inc.(略称「TAK」)。大韓民国全羅北道群山市セマングム産業団地に、同社グループとして初の海外でのPPS樹脂生産拠点となる、年産8600トンの設備を建設し、2016年4月から稼働を目指す。これにより、既存の東レ東海工場とあわせた生産能力は年産2万7600トンまで拡大する。
 また、今回の工場新設にあたっては、PPS樹脂の主原料である硫化水素ナトリウム(NaSH)、パラジクロロベンゼン(p―DCB)も自製することで、コスト競争力を有した主原料から樹脂の一貫生産拠点とする。さらには、樹脂に意匠性や機能性の加工を施すためのコンパウンド設備もあわせて導入し、年産3300トンの能力で、2015年10月から先行して顧客への出荷開始を目指す。
 新工場で生産したPPS樹脂は、韓国内消費分以外は中国を中心とした同社グループの各コンパウンド拠点へ供給し、グローバルな事業拡大を一層進めていく。なお、同社はPPS樹脂の需要拡大に対応するため、次期増設の計画検討にも着手している。
 PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度、難燃性等に優れた「スーパーエンプラ」で、自動車の電装部品や電機・電子機器、OA機器、住設関連部品等に使用され、採用領域が更に拡大している。PPS樹脂コンパウンドの世界需要は約7万トン(2012年)と推定され、今後も年率8%以上の高成長が見込まれている。同社は拡大する需要を取り込むために、PPS樹脂の生産拠点を新設することを決めた。
 同社グループはPPSを樹脂コンパウンドの他に、フィルムや繊維分野にも展開する世界的な総合PPSメーカー。今回の生産拠点新設により、樹脂コンパウンド分野で今後の需要増が期待される高機能・環境対応製品への用途展開を推進し、世界におけるポジションを一層強化していく考えだ。
 同社グループは、今年度を最終年度とする中期経営課題「プロジェクトAP―G2013」において、「成長分野および成長地域における事業拡大」を基本戦略の一つに掲げている。同社グループは「持続的に収益を拡大する企業グループ」を目指し、今後も成長が見込まれる中国を中心としたアジア・新興国市場や、「自動車、電機・電子機器、住設関連部品」といった成長分野での需要を取り込み、樹脂事業の更なる拡大を図っていくとしている。
 〈TAK概要〉
▽社名=東レ尖端素材(韓国名)、Toray Advanced Materials Korea Inc.(英文名)
▽事業内容=PETフィルム、ポリエステル繊維、不織布、フィルム加工品、回路材料、水処理膜モジュール、炭素繊維の製造・販売
▽所在地=大韓民国ソウル特別市
▽設立=1999年10月(2010年5月社名変更)
▽資本金=4750億ウォン(東レ100%出資)
▽PPS樹脂生産能力=年産8600年産トン
▽コンパウンド生産能力=年産3300トン

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